爆破された巨大団地。このセンセーショナルなトピックから始まる本書は、20世紀都市計画の失敗を検討し、その反省の上に考察された新しい都市計画のコンセプトをアメリカ、イギリス、EU諸国の事例から紹介、21世紀型の都市計画を展望する本です。
20世紀の近代都市計画理論は高層化と標準化、機能主義、歩車分離と空地の増大によって、人口密度の低い箇所での犯罪の増大や、職住分離によって交通量の増大、エネルギー消費の増大を招き、多くの都市で破綻をきたしています。これに対して近年、コンパクトで高密度、活気のあるまちをめざすコンパクトシティや、コンパクトシティにエコロジーの観点を盛り込んだサステイナブルシティ、郊外へのスプロール化・経済拡大を抑制したニューアーバニズム、都市部に村のようなスケール観を取り戻すアーバンビレッジ。また、文化施設やLRTなどの公共交通、エコロジー建築など独自の特色を出している都市も多く紹介されており、画一的な20世紀都市とはずいぶん趣きの異なった、多様で生き生きとした21世紀都市の姿が見えてきます。
しかし日本ではどうか。美しく個性的な欧米の諸都市の取り組みと比べて、本書でも断片的に紹介されている事例は、まだまだ萌芽状態だと言わざるを得ません。著者自身も本書を最先端のまちづくりのガイドブックとしてほしい、と述べているように、日本の都市はこれから、本書を参考書に検討していかなければいけない。そういう段階なのだと思います。