スーパーなどで騒ぎ回る自分の子どもを、店内に響き渡るような大声で叱り上げる母親をよく見かける。そんな時、「公共の場で大声を出すな!」と母親のほうを一喝してくれる年長者がいたらなあと思うことがよくある。これはまさにそんな熱血の人が本になったような一冊だ。
とにかく佐藤愛子が元気である。文章も跳ねている。読んでいると50代の血気盛んなオバサマが書いているのかと錯覚するほどだ。とても(当時)83歳とは思えない。ヨン様に狂騒する平成のオバタリアンに怒りの炎を再燃させられたのに始まり、答えようのない質問をするテレビレポーターに呆れ果てる。
はたまた、孫の無愛想を嘆き、意図不明な報道に終始するマスコミを叩き、拝金主義のホリエモン人気に不愉快さを露にし、事大主義の高野連に噛み付く・・・。歯切れのいい文章でズバズバと世相を切りこむ心地よさは格別だ。各章とも、実にテンポよく話が展開していくのだが、最後にはちゃんと元の筋に帰着して終わる。その筆才は、本書では数少ない褒め言葉を借りていえば「おみごと!」である。
しかし、ただ勢いに任せ、キれてばかりいるわけではない。亡き親友との交遊を切々と綴った「ああ、川上宗薫」をはじめ、愁いを帯びた述懐もあり、読み物として実に奥深い。個人的には「この道は誰もが通る道」など、孫の桃子とのエピソードが、人生幸朗・生恵幸子の漫才を聞いているような味わいがあって好きである。
爆笑し、相槌を打ち、ちょっぴりしんみりしながら、読み終わるとなんだか元気が湧いている。精神のバイアグラ的効能を持った快作である。