テーマからして重そうで、女性であるが故の不幸がこれでもかと描かれていそうで敬遠されるかもしれませんが、驚くほど読みやすい、ページを繰る手が止まらない本です。
殺人の容疑者であるグレイスと若い精神科医との対話が大部分を占めています。読みやすさは語り手と聞き手がいる形式のせいかもしれません。
グレイスが正気なのか、どういった人間なのかを明らかにするために、生い立ちから事件後の収監所での生活にいたるまで細部にわたって描かれているのですがまったく冗長にならず、19世紀のカナダの社会や生活の細かな描写は女性が語り手なので衣服や食べ物にまで及んでいて、楽しめました。不幸をアピールしたりせず、センチメンタルにならない、欠点の見つからない小説でした。