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またの名をグレイス 上
 
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またの名をグレイス 上 [単行本]

マーガレット アトウッド , Margaret Atwood , 佐藤 アヤ子
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

現代カナダ文学を代表する作家アトウッドの最高傑作(ギラー賞受賞)。一八四三年にカナダで実際に起きた殺人事件に題材を求め、入念な資料調査をもとに仕上げられた作品。若くて類まれな美貌の主人公グレイスは女悪魔・妖婦だったのか、それとも汚名を着せられた時代の犠牲者だったのか。十六歳で事件に関わり約三〇年間服役した、同国犯罪史上最も悪名高いと言われている女性犯グレイス・マークスの物語である。記憶の信頼性とアイデンティティの揺らぎ、人格の分裂、夢、性と暴力をはじめとする人間存在の根源に関わるテーマを、多彩な小説手法を駆使しながら、大きな物語に描き上げた力作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

アトウッド,マーガレット
1939年生まれ。カナダを代表する作家・詩人。長編小説、短篇集、児童書、ノンフィクション、詩集、評論等、幅広い作家活動を展開。これまで、カナダ最大の文学賞であるカナダ総督文学賞(2回)、ギラー賞(1回)をはじめ、ブッカー賞、アーサー・C.クラーク賞、コモンウェルス作家賞、ハメット賞などを受賞

佐藤 アヤ子
明治学院大学教授。日本カナダ文学会副会長。専攻=カナダ文学、現代アメリカ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 323ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2008/3/27)
  • ISBN-10: 4000248057
  • ISBN-13: 978-4000248051
  • 発売日: 2008/3/27
  • 商品の寸法: 18.6 x 13.6 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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By ru
形式:単行本
テーマからして重そうで、女性であるが故の不幸がこれでもかと描かれていそうで敬遠されるかもしれませんが、驚くほど読みやすい、ページを繰る手が止まらない本です。
殺人の容疑者であるグレイスと若い精神科医との対話が大部分を占めています。読みやすさは語り手と聞き手がいる形式のせいかもしれません。
グレイスが正気なのか、どういった人間なのかを明らかにするために、生い立ちから事件後の収監所での生活にいたるまで細部にわたって描かれているのですがまったく冗長にならず、19世紀のカナダの社会や生活の細かな描写は女性が語り手なので衣服や食べ物にまで及んでいて、楽しめました。不幸をアピールしたりせず、センチメンタルにならない、欠点の見つからない小説でした。
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17 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
19世紀半ば、16歳で殺人容疑者として投獄された実在の女性、グレイス・マークスを著者が丹念に調べあげ、不明な部分を付け足して作り上げたフィクション。前半は主にグレイスの不幸な生い立ちおよびメアリー・ウィットニーとの関係が語られる。後半はグレイスは殺人者か無実か、ファム・ファタールか純潔かという謎が医師ジョーダンとの関係を軸として展開する。
 結論からいうとひとつの物語としてのオーガニックなまとまりにかける。ページターナーとして提示される数々の謎はがあっけないほど地味に落ち着き、グレイスとジョーダンはどうなるのかというサスペンスは尻切れトンボ的に放置される。カタルシスとしての「感動」の欠落が史実に忠実であることに由来するならまだしも、フィクションの部分なのでがっかりしてしまう。特にジョーダンには第二の主人公といえるほどウェイトが置かれいて、彼の視点で語られる部分も多いのに、まるで著者が彼の処分に困ってしまい、当時の歴史的な背景を考えるとこんな感じかと深く考えずメインのプロットから消してしまったかのよう。
 当時のカナダでの貧しい召使としてグレイスの生活の描写は面白い。お茶ひとついれるにも外で井戸から水をくまないといけないし、薪で火をおこさないといけない。電気やガスが来る前の昔の家事の描写は真剣に面白かったけどプロットとは関係薄いんだなぁ。悩み、迷いだらけのジョーダンの心中も面白い。若い男の性的苦悩、自己嫌悪、欺瞞の鋭い描写は著者ならでは。しかし、そうした部分では著者の力量が全開なのに全体になるとそのパワーがガス漏れのように消えてしまってちぐはぐな印象だけが残る。史実を元に描くことで却って著者の想像力に歯止めがかかったか。事実は小説より奇なり、ではなく逆でなくてはならない!でないと小説読む意味ないからね。
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