愛するものを失うということはこんなにも辛いことなのかと思う。いや、悲しいとか辛いとか寂しいとか、そんな感情もすべてなくし、感覚もなくし、かつ生きることに必要な最低限の生理的な欲求すら失ってしまうほどに穴澤さんの心はボロボロになったのだ。
老衰や病気など、あらかじめ予想のつく死であったなら、ここまで苦しまなかったのではないかとも思う。元気ですとブログを更新しながらも本音のところはこんなにも追い詰められていたのかと思うと改めて胸が締め付けられる思いがする。
「すべてを捧げてもいいと思っていた俺の犬」この言葉を私は一生忘れない。私も犬を飼っているひとりとして、内心は同じ気持ちでいるけれど、気恥ずかしくてそれを公言できないでいる。でも穴澤さんはなんのてらいもなく言ってのけた。そしてこの本を世に送り出してくれた。誰にでも訪れる別れを一足先に経験した彼の文章が、のちに経験する人々、あるいは現在進行形で哀しみと向き合っている人々をどれだけ救うだろう。
こんなにも詳細に哀しみを綴ることはずいぶん勇気が要ったことだろうと思う。でもどんなにズタズタになっても、どんなに心が壊れてもいつかは前に進めるときがやってくる。それを身をもって教えてくれた。感謝の気持ちでいっぱいだ。