表題作には不思議な魅力がある。複雑な家族関係。というほどではないが、誰が家族で誰が家族でないのか、何がどうなっているのか…を、どうでもいいやとほっぽっちゃってる。勤勉な日本人が一人も出てこない。バックパッカーの息子、遺産でアパート経営をしながらアル中っぽい母、水商売の叔母、たばこを吸う女子高生のいとこ。
極めつけが、フーテンの寅さんのリアル版のような父だ。息子の知り合いも父の知り合いも、とにかくみんなふらふらしてる。ここは本当に日本か?でももともとアジア人の生き方ってこうなのかも。みんな自分に誠実に生きてはいるし。やたら欧米ぶってる日本の方が不自然なのかも。
併録の「どんぶり」中のハエの独白のみ、稚拙な感じでちょっとはずかしい。でもあとは面白い。よく考えたら、眉間にしわを寄せて真剣に取り組まなきゃ成らないことなんて、ほんの少ししかないのかもしれない気がしてくる。