一巻から間を置かずしての二巻の刊行。
一巻の最後に掲載されていた発売予定日を見てから、本当にこの日が待ち遠しかった。
迷いの中にある主人公・雪は、母の陰謀で高校に入学し、東京での暮らしの中で少しずつ何かを見つけはじめている(まだ、少しずつだけれども)。
好きになった女性から、離れた故郷で暮らす兄から、東京で知りあったミュージシャンから、クラスメイトから、そして雪が弾く三味線の音を聞いた人の言葉から。
これからも、雪は何かを見つけ、己の道を見つけていくのだろう。
「三味線がお前を生かすんだとしたらいずれ自分の意志とは関係なくその世界に引っ張っていかれるぜ」とは一巻収録の話の中で雪がいわれる一言だ。
この言葉の通り、雪が音の世界に否応なく引っ張って行かれることは、読者にははじめから分かっている。
だが、そこに辿り着くまで、雪が心のままに迷いなく三味線の音を奏でるまで、一体どんな出会いがあり、どんな葛藤があり、どんな歓びがあるのか。
それをこの物語はドラマティックに、圧倒的な力で描いてくれるだろう事は間違いない。
二巻収録分には、兄・若菜との連弾シーンが描かれている。
若菜も己の腕に葛藤を抱えており、三味線の才能では雪よりも劣っているために、二人の間にはそれが理由で何か影が差してしまうのではハラハラしてしまうエピソードもあったが、この連弾シーンではそれは杞憂であったと安心させられる。
幼い頃から共に三味線を弾いてきた二人。回想と共に描かれるこのシーンはとても美しい。
また、雪の高校の入学式の為にわざわざ上京してきた若菜の兄としての優しさと心の広さには、心が和む。
そして、他にも挙げたい素晴らしいエピソードは山ほどあるが、そこは是非一読して確かめていただきたい。
読む価値のある漫画。素晴らしい物語だ。