以前、読み聞かせの講習会で、子供が冒険をして、そして「帰ってくる」。これが子供を育てる良いお話だ、と教えてもらったことがあります。
子供の成長が、毎日すこしづつ冒険して帰ってくる、その積み重ねだからです。
それからすると、このお話はそのセオリーにぴったりです。
7匹兄弟のマイロは、本当に臆病で、兄弟の中にも入っていけない子です。ミーシャおばあさんに初めてのお散歩に連れてもらうのにも、兄弟みんな大喜びなのに、マイロだけは家からも出られないほど。仕方なくおばあさんのかばんに入れられて出発します。おばあさん、スキーはいてカッコイイですよ。でも、あっちこっち行く子犬を追いかけておばあさんが右往左往しているうちにマイロはかばんから落ちてしまいます。それでもはじめての雪に怯えて声も出ないマイロ…。
突然のカラスのいじわるな声に驚いて、隠れ場所を探して滅多やたらに逃げ惑うマイロ。お母さんとよく似た匂いに惹かれて入った洞穴で、思いがけない友達が出来ます。二人(2匹?)とも、とても臆病だったのに、二人でいるうちにたくましくなって、帰る頃にはもうカラスのいじわるも平気になります。二人が出会った場所、文章もなく見開き2ページ一杯に描かれた絵が、この後の展開の伏線になっています。
薄暗くなってお腹もすいて、「おかあさ〜ん」と泣き出す頃には、家族の呼ぶ声がちゃんと聞こえてきて、家に帰ればマイロは兄弟達のヒーローです。何しろ今日一日一人旅をして来たんですから!
先ほどの話で言うと、子供に読み聞かせる時に、主人公がこうして無事家に帰って来ると、お話を聞いている子供も安心するんだそうです。そして自分も家があって、家族があることに安心するんだそうです。子供の自立には、こういう安心というか、心の拠り所って大切ですよね。
そういう理屈抜きにしても、可愛い絵とお話で、おすすめです。