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ぼく東綺譚 (新潮文庫)
 
 

ぼく東綺譚 (新潮文庫) [文庫]

永井 荷風
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

にわか雨の日、私の傘に入ってきた女、それが、お雪との出会いであった--。私娼窟の並ぶ玉の井を舞台とし、かすかに残る江戸情緒の中に描かれた、ひとつの愛のかたち。(稲垣達郎/石川 淳)
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

小説「失踪」の構想をねりつつ私娼街玉の井へ調査を兼ねて通っていた大江匡は、娼婦お雪となじむ。彼女の姿に江戸の名残りを感じながら。―二人の交情と別離を随筆風に展開し、その中に滅びゆく東京の風俗への愛着と四季の推移とを、詩人としての資質を十分に発揮して描いた作品。日華事変勃発直前の重苦しい世相への批判や辛辣な諷刺も卓抜で、荷風の復活を決定づけた名作。

登録情報

  • 文庫: 142ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1951/12/27)
  • ISBN-10: 4101069069
  • ISBN-13: 978-4101069067
  • 発売日: 1951/12/27
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.4 x 0.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
 最初は随筆かと思った。丁寧ながらも抑揚のない文体で昭和初期の東京近辺の様子や感慨が書き綴られている。完全な一人称系で進行し、細やかな描写は随筆そのもの。その中で主人公の小説家大江匡のどこか斜に構えたような生き様が生き生きと感じられなかなか面白い。ふとした出会いや女性との関係、現実味あふれる設定と主人公の挙動には著者の文章のうまさに舌を巻かされてしまう。情の通じ合いもほんの微かなものでありながら実に鮮やか。盛り上がりにこそ欠けるが読了後のどこか寂しい印象は気分がいい。後につけられた小さな著者の随筆も消えゆく東京の風景や習慣を惜しむ様子が同感できて非常に良かった。
 星を一つマイナスしたのはいかにも随筆らしく冗長な所があり何を言っているのか分からない部分があったため。東京近郊の地名も頻出するのでそのあたりに疎い自分には少し残念だった。そのあたりを熟知している方ならば、現在の東京と昭和の東京を比べて著者の詠嘆と心境がもっと切に感じられると思う。
 この小説が発表されたときは風俗や習慣のある大きな転換期であり、そういった背景があったからこそ失われゆく風景への愛着を暗に示したこの小説が圧倒的に支持されたのだろう。一種の寂しさを催させる一冊だと感じた。
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余韻 2011/1/11
By cobo
形式:文庫
作家であり、著者永井を思い起こさせる大江(は実は父親の姓、まあ本人と捉えて間違いないのではないでしょうか?)の1人称で語られる余韻の深い、空白を生かした短編小説です。大江が書き出そうとしている小説内小説「失踪」の取材のために、その結末にリアリティを出すためにも、現実の世界を知ることが、その界隈の空気を、人通りを、匂いを作品に滲ませることが重要だと考え、散歩を繰り返すうちに出会った女「お雪」との関係を記した作品です。単純に言ってしまえばそれまでのものなのですが、非常にどの場面、どの記述、描写、心情の吐露している部分にまで、余白を残し、余韻を感じさせるつくりになっていて、受け手の想像や考えをめぐらせる作品です。

その当時の世界を描き出し、その中での窮屈さを感じ取っている大江の、永井の、その認識が面白かったです。非常に繊細かつ粋な物語。

情緒、という言葉を改めて考えさせられました。

しかし、よく考えると、この永井さんも相当に偏屈で、頑固とも言えるとも思いますが。

スタイルある生活、というものに興味のある方にオススメ致します。
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荷風の脚力 2004/2/26
形式:単行本
 本書は玉乃井、現在の東向島周辺の風俗を丹念に記述した作品です。東武線伊勢崎線・東向島から隅田川に沿って浅草まで歩くと、当時の風景が追体験できます。本書を手に隅田川を遊歩してみるととても面白い。かなり疲れますが。

 洋行中(あめりか物語、ふらんす物語)は日本を嫌悪していた著者が、江戸芸術論、つゆのあとさき、おかめ笹、すみだがわ、夢の女、下谷叢話、日和下駄と日本の下町趣味に傾いていくさまを見るのはとても興味深い。「腕くらべ」(岩波書店)は絶版で入手は困難なため、復刊を強く望む、ぜひ読みたい。

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