神子ねえちゃんは言う。「泣いたらハラがふくれるかあ。泣いてるヒマがあったら、笑ええ!!」。ヤク中の父を亡くしたばかりの少女は、うまく泣くことさえできずに、不思議そうにこう言う。「息するたびにな、ノドの奥に小石みたいのがたまるんよ。食い物の味わからへん」。むき出しの現実を見ながら、幼い心にいくつもの決意を刻んで「ぼく」は成長していく。
映画化(2003年)にあわせて、オールカラー全3巻だったものを白黒の普及版として1冊にまとめたもの。見開き2ページのショートストーリー114話で構成。巻頭には、描きおろしのカラー漫画が4ページ収録されている。日々の出来事を2ページで描きつつ、一太が家を出るあたりからは全体を通して話に流れが出てくる。彼らはいつも、あきらめたような、悲しいような笑みを顔に貼り付けて、痛いほどにただただ求めている。自分の家で、家族そろって暮らすことを。ともに食卓を囲むことを。ラストシーンで二太が見せる笑顔は、痛ましさと同時に少しの希望を感じさせ、いつまでも胸に残る。(門倉紫麻)
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54 人中、52人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
生の醜さ、尊さ,
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レビュー対象商品: ぼくんち (ビッグコミックス) (コミック)
例えば聖書なんかを読んでみると、びっくりするほどアンモラルなエピソードがたくさんあるわけで、隣人愛を説くようなキリスト教のイメージとは相当なギャップを感じることだろう。
この作品も同じように、一見すると毒とシモネタとアンモラルのオンパレードに見えてしまうかもしれない。しかし現実とは不条理で、決して美しいものではないのだと知っている人にとっては、その向こう側にある生そのものの力強さ、美しさに気づくのではないだろうか。 「癒し」には二種類ある。つらい現実から一時的に目をそむけるものと、清も濁もまるごと受け入れるもの。前者では癒されない人たちにこそお勧めします。
15 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
お姉ちゃんの存在,
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レビュー対象商品: ぼくんち (ビッグコミックス) (コミック)
ゴミ溜めのような町で、三人の姉弟が中心となって、必死に(という表現はあまり似合わないかな。)生きていくお話です。私はかの子お姉さんが一番好き。 悲しいこともツライことも人一倍経験してるんだけど、笑う。泣いても、笑う。名前のとおり、神の子のような人だと思う。 もちろん、一生懸命生きているのはお姉さんだけでなくこの本の登場人物はほとんどそうなのですが、このお姉さんが居るだけで、この冷静に読めばどうしようもなく暗く惨めな話ばかりの本は、明るく前向きなものになっています。
18 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ヒトもまた動物。,
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レビュー対象商品: ぼくんち (ビッグコミックス) (コミック)
二太(にた)が泣いたとき(それは第7話を読んでね)かのこ姉ちゃんが「二太、ええかあ、泣いたら世間がやさしゅうしてくれるかあっ。泣いたらハラがふくれるかあ。泣いているヒマがあったら笑ええっ!!」と二太のことを教育しました。 愕然としました。これが、彼らにとって(あるいは私にとっても)究極に「生きる」ということなんだ。 サイバラは、すごい。覚悟がすごい。ヒトもまた動物。生きていくための厳しいやさしさがすごい。それを知っているサイバラはすごい!
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