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記憶を失って以降の一人の大学生が、生まれたばかりの赤子のような「何故?」「どうして?」という素朴な疑問を一つ一つ理解し、周りや友人や社会と折り合いをつけていく過程には、言葉にしてしまえば簡単でも、相当の困難や苦しみ、苛立ち、不安があったことと思います。
そういった心の内が素直に書かれながら、少しずつ人間との距離の取り方を学び、次第に自分の存在の不安感が自信に変わっていく様は、読んでいてとても嬉しく、力強く、感動しました。
日々の発見が喜びに変わる、そういった素朴で人間らしい生き方を、!草木染めを通して坪倉さんの生きる方法にできたことは、とても素晴らしいと思います。
控えめに差し挟まれているお母さんの手記には、控えめな書き方であるだけに、お母さんも大変だっただろうなと感じさせられます。それでも、息子を甘やかすことなく、いつも耐えてさり気なく見守っていらしたお母さんにも、少なからず感動しました。
「今はもう、昔の記憶が戻ることが怖い」という坪倉さんの言葉は印象的です。この本からは、とても元気を貰いました。これからも頑張って坪倉さんの世界を草木染めで更に開花させて行ってほしいと願います。
本の装丁や色使い、デザインもとても良い感じでした。
――昨日までの自分を、昨日までの生を、全く覚えていない。
それは、一体、どういった感覚なのだろう??
そんな疑問からこの本に手を伸ばした。
この本では、大学に入学したばかりの春に、18年分の過去を失くしてしまった、1人の『個』が送ったリアルな感覚の『日常』が書かれている。
喪失であり、また2度目の誕生でもある18の春から、
再び立ち上がり歩き出すまでの日々、が本人、家族の深い思いと共に綴られている。
もし自分が記憶を失ってしまったら??
もし自分の大切な誰かが自分のことを忘却してしまったら??
―その思考に対する一つの形が、そこには在る。
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