本書は、難関企業に就職ないし内定した40人の証言を集めたものであり、筆者の前著(『就活って何だ』)と同様、
手堅い取材に基づいた労作である。
それらの証言から得られる教訓は、「超氷河期サバイバル5原則」として巻末にまとめられている。
しかし、本書は、就活以上の問題を扱っており、そのために焦点がボケてしまったきらいがある。
本書にとり上げられている40人の例を見る限り、就職には次の3つの要素がうまくかみ合わねばならないようだ。
a.これまでの人生をどう生きてきたか(行動特性、思考特性)
b.どんな職業につき、どんな人生を生きたいか(価値観)
c.それをどう表現し、伝えるか(エントリーシート、面接)
採用する側が関心をもっているのはaとbである。本書の中でも、学生が、就活を通じてa,bの点で自己認識を深め、
成長していく姿が描かれている。
しかし、概して、a,bは単なる就活の問題ではなく、学生自身の生きざま(キャリア)の問題、いわば就活以前の問題である。
就活という場面で生きざまが問われるため、それを扱うことは不可欠であるが、ここで提起されている問題は、
OB訪問や自己分析、面接といった「就活戦記」の中では扱いきれない。
読者は、「就活戦記」と銘打たれた本書の事例の中から、何を教訓として読み取るべきか戸惑うに違いない。