耽美と退廃と猟奇で満ちた世界観に浸った劇団 “東京グランギニョル” の演劇作品『ライチ光クラブ』。
四半世紀前のアングラ少年少女を狂喜させた作品が、『ライチ☆光クラブ』としてコミカライズを経て、今や音楽作品やグッズ、インターネット、再び舞台へとメディアミックス展開されており、感慨深いものです。
基本的に舞台のコミカライズである既刊『ライチ☆光クラブ』に対し、本作は古屋兎丸オリジナルの前日譚です。
本作も同じ舞台、同様のテイストで綴られており、物語の途中であるこの上巻で既に『ライチ☆光クラブ』へと地続きであることがきちんと理解出来ます。
前日譚なので、『ライチ☆光クラブ』を未見でも全く問題無く楽しめます。
今日マンガ界で耽美、退廃、猟奇と言えば、丸尾末広や花輪和一、或いは長田ノオトや駕籠真太郎らの作品を想起されるでしょう。
それらに比べれば随分とアッサリとした味わいですが、それが古屋兎丸作品らしく清潔で、ドロドロとした汚い物はスッパリとカットされ、現実から乖離した独特の世界観を創り出しているボーイズラブ作品の空気にも似ます。
因みに、裕福ではない庶民の子弟が制服であることを訝しく思われるかも知れませんが、現実の都内の区立小学校の中には、多くはないものの昔から制服もあります。
しかし、本作の少年少女の体型はバレエダンサーのようにスラリと伸びやかで、決して子供らしくはありません。
それは他の作家によくある画力不足などではなく、高校の美術講師を経、ガロ誌でデビューした当初から様々な表現を用いて読者を驚愕させた作者にあっては、制服の使用と同様に世界観を形作る為に意図されたことなのでしょう。
本作は太田出版発信の連載コミュニケーション空間 “ぽこぽこ” でWEB公開された作品を纏めたものですが、未見の方は取り敢えず第一話が見られます。
http://www.poco2.jp/comic/bokura/