高校の「図書部」に集う若者たちの群像劇。
この部員たちが、とくにポピュラーでもオタクでもない
というところがまず面白い。こういう青春小説ってほかにあったか?
「ジャージの二人」もそうですがこの著者は限定された舞台で人を動かすのが上手い。
今回は小説のほとんどが図書室と部室で起こる(というか何も起こらない)のですが、
この場所がじつに居心地がよく、「まさに青春」な空気が流れています。
そしてその居心地のいい空間で、さまざまなテクニックを駆使した
ソロ演奏を聞いているような気分になる作品です。
(じつは相当凝っているのですが、それは意識せずただ楽しむことも可能。)
大事件が起こるわけでもないのに、1ページに一つぐらいの割合で
ハッとさせるフレーズやアイデアが出て来て、
その多さはこの小説がタイトルでオマージュを捧げている
「僕は模造人間」「ぼくは勉強ができない」にも負けていません。
部員の一人が書く小説内小説「横たわった世界」(SF!)が最高。
これを全部読んでみたかった。
そして186ページ〜191ページの流れるような素晴らしさ!
小説でしか書けない青春、友情。きっと泣きます。
光文社刊だから?「写写丸」に献辞が捧げられていたり
カバー裏にギミックがあったりと本のディテールにもこだわりがあって面白いです。