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ぼくは日本兵だった
 
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ぼくは日本兵だった [単行本]

J・B・ハリス , James B. Harris
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)

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登録情報

  • 単行本: 245ページ
  • 出版社: 旺文社 (1986/07)
  • ISBN-10: 4010710519
  • ISBN-13: 978-4010710517
  • 発売日: 1986/07
  • 商品の寸法: 18.8 x 12.8 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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 最近、読売新聞に鳥飼玖美子さんの自伝が連載され、その中で、ラジオ「百万人の英語」の講師であったJ・Bハリス氏に触れておられるのを読み、急に、この本が読みたくなった。
 ハリス氏は、ロンドンタイムス特派員の父と日本人の母との間に生まれたハーフであり、戦争が始まった頃は
英字新聞の記者であった。本書は、生い立ちも含まれるが、第二次世界大戦の初めから終戦までの4年間の出来事で埋まっており、東京裁判が始まるところで終わっている。真珠湾攻撃の後、スパイ容疑で逮捕され警察へ、容疑が晴れると外人として外国人収容所へ、そして戸籍上の日本人としての扱いに戻ると、徴兵検査が待っている。著者は終生、日本人でありながら、外人としても扱われ、その矛盾がこの本の骨子となっている。
 赤紙が来て、中国へ出兵、北支に滞在、二等兵として出発し、軍隊内で散々な苦汁をなめるが、耐えに耐えて、無事、母のもとに帰還するという自伝である。
 軍隊内で様々な出来事が発生し、笑いあり、涙ありで、読者を飽きさせない展開が続く。一例であるが、
ある晩、野外トイレに著者は一人で出かけて、気持ちよく小便していると、下の方から「貴様、誰だ?!」と声がする。よく見ると、古参の伍長の頭に彼の排出物がかかっていたのである。二等兵である著者は、顔がふくれあがるほど、拳骨で殴られるが、これを知った同僚は皆ニヤリとして、何となく同情的なのだ。後で知ったことだが、この伍長は隊内の嫌われ者だったのである。
 失敗談だけではない。八路軍との白兵戦もある。砦を守っていた著者は、はしごを掛けてよじ登ってくる敵と
銃剣で格闘、気がつくと頭の先からつま先まで、ぐっしょりと相手の血で染まっていたそうである。
 原文は英語で書かれ、それを翻訳してあるようだが、読みやすく、さすが、ジャーナリストの文章と感心させられる。「百万人の英語」は、時々テキストを買って聞いた程度であるが、あのハリス先生が、こんな激動の人生を送られた方と知って感慨深いものがある。
 著者は既に他界されているが、結婚され、その子息は有名ミュージシャンとなられているようであり、立派な人生に尊敬の念も浮かんでくる。ご冥福を祈ります。
 
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23 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
実を言うと、この本を買ったのは、もう10年以上も前の話だ。そのときに受けた目から鱗が落ちた思いが、いまだに自分の中で活きているのを感じて、レビューを書こうと考えた。

『ぼくは日本兵だった J・B・ハリス』という署名と著者名、更に“白人顔”に日本兵の軍服という写真の表紙が一体となって、テーマをストレートに訴えかけてくる粋な装丁のとおり、これは、ラジオの英語講座で有名な日本人、ハリス先生の、分かりやすくも壮絶な自伝である。だが、読み終わって驚いたのが、その中でハリス氏が一番に伝えたかったのが「自分のアイデンティティーである英語が使えなかった時代があったのを知ってほしい」であったことだ。

そこで当時30歳前後にもなっていた私はハッとした。「使いたい言語を使って良いのだ」と。

ハリス氏の時代ほど深刻ではないにしろ、今でも、異なる言語の中で育ってしまったハーフ(ダブルとも言う)や帰国子女が、「片方の言語を忘れるから/覚えないから」「きどっていると思われるから」と、“外国語”の使用を控えるように言われてしまう。至極もっともな論理である。でも、言われる方は、「そんなもんかなあ」と思いつつ、妙に自分で納得いかないのがなぜなのか分からないまま、悶々とした日々を過ごすハメになる。

でも、良いんだ。しゃべったって。ちょっと場所をわきまえる必要はあるけれど、自分の言葉だもん。もう読めなくなってしまった虎がバターになる絵本、素直に歌えなくなってしまった「細石の巌となりて」……そういうものを目にするたびに、少し次元は違うように思えるかもしれないけれど、どうしても、この本を思い出してしまう。そして、人になんと言われようと、理屈では説明できないけれど、自然に好きなものは好きと、心の中でそっと抱きしめるのである。

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