児童書だが大人も楽しめて、案外深いところもある。主人公はボーダーコリーの子犬。牧場に生まれ、父犬や先輩犬のように牧羊犬としての活躍を目の前にして、わけあって売りに出されてしまう。そこから彼の放浪の旅が始まる。あるときはブラッキーと呼ばれ、少女の着せ替え人形になり、あるときはシェップと呼ばれ、旅する老人と行動を共にする。泥棒2人組に拾われてスポットになり、サーカス団ではスパーキーとして芸をしこまれる。
この子犬を駆り立て、絶望から救っているのはただひとつ、「羊を追いかける仕事をしたい」という熱い思いだけ。自分にはするべき仕事がある、それをするためには苦労や努力をいとわないところが、いかにもボーダーコリーらく描かれている。ひたむきでガッツがあり、牧羊犬の誇りを失わない彼は、最後に出会った少年と固い友情で結ばれ、めでたくジャックという名前と夢にまで見た天職を得る。
この少年と出会った「よき羊飼いの家」(原書では「The Good Shepherd Home for Boys」)。ジャックはこのShepherdを孤児院とは知らずに、てっきり羊がいると勘違いするあたりがほほえましい。さまざまな経験の中からジャックが得た「生きていくのに大切なもの」とは?
原書「Sheep」も大変読みやすいので英語の本の入門編としてお勧めします。