純粋な映画評なら、星5つ付けるのに吝かではない。評価を貶めているのは「作品そのもの」ではなく、ソフトの画質である。たとえば、映画の終盤近く、少年少女が交わす長い接吻シーンがある。見た方なら、二人の幼い恋人たちの背後で静かにそよぎつづける草むらの美しさに驚嘆しただろう。しかし、このDVDを見ると、それがあんまりきれいでない。
スタンダード・サイズで撮影・上映された本作品は、ソフト化の際に、ヴィスタ・サイズに(つまり上下が若干寸断された状態に)なってしまった。このヴィスタ版はすぐに廃盤となりスタンダード版が改めて発売された。これはフランスでテレシネしたものらしい。両者を見比べると、映像の明度がかなり異なる。解説によれば、今回再販されたもののほうがオリジナルに近いという。しかし率直な印象としては、「明度」の高かった廃盤のもののほうが、画質としてはすぐれていた気がする。試しに、DVDプレーヤーではなく、PCの機器で再生したところ、それほど画質では気にならなかった。この問題は、再生機ごとに微妙に異なるのかもしれない(他の方のレヴューを期待したい)。とにかく、再版ヴァージョンにおいては、監督ユスターシュとアルメンドロスによる厳格な画面設計を堪能することはできることはたしかだ。
他にも評価すべき点はある。例えば封入特典。そこには細川晋氏による解説と、製作者ピエール・コトレル氏が『カイエ・デュ・シネマ』誌上で語った製作秘話の抜粋と簡単なシナリオが付いている。細川氏による解説はエヴァンヌ・アンスカ著『わがユスターシュの歳月』に多くを負っているが、それによれば、あの接吻シーンの草むらは、実はすべて植え込んで作られたものであるそうだ! コトレル氏の「『ぼくの小さな恋人たち』の撮影期間中、彼〔ユスターシュ〕は何度も死にかけていた」という言葉は、彼の不幸な末路を考えると、読んでいるだけでいたたまれなくなってくる。