この巻の始まりは木蓮の、初めてビジョンで見るKK(地球)への興味、関心の話で始まります。前の巻で、キチェスである木蓮が国の反対を押し切って研究員になった話が出てきましたが、ここでなぜ彼女が元々地球に興味を持つようになったかが分かります。
巻を通して、純潔を守らねばならないはずのキチェスである木蓮が、恋を夢見る普通の女の子であることが描かれています。しかしキチェスであるがゆえに、周りから特別視されたり奇跡を起こすことを期待されたり、はたまた同性からは嫌われたりと、キチェスであることに誇りをもてない、彼女自身の悩みも描かれます。途中に出てくる、学校の友人女性達に嫌われている話をお世話係のモードにする場面は、話と服装から判断して前の巻で断片的な記憶としてありすが夢見た部分と一致するので、『あの場面はこの日にあった出来事なのね〜』と話のつながりがわかります。
一番の見所はKK行きが決まって、メンバーとの初顔合わせのところでしょう。紫苑側の記憶でその場面も出てきましたが、当の木蓮は何を考えていたか分かって、意外でもあり面白いところです。
研究所での生活では、紫苑に一目惚れしたものの冷たくされる、その一方玉蘭はとても優しい、と木蓮の揺れる女心が描かれます。しかし木蓮にとっての決定打は玉蘭は彼女をキチェスとして見、紫苑は普通の人間として見てるところです。キチェスであるがゆえの木蓮の苦悩と、彼女の求めるものがよく分かる巻だと思います。
最後の『今だから書けるぼく地球考』は「自分が焼いたケーキを紫苑が食べてるのをみてガッツポーズする木蓮」。ウケました。恋することにあこがれていた木蓮。そうです。恋を実らせるには時に好きな人のためにせっせとケーキを焼いたりする努力が必要なのです。ぼく地球では男性陣の木蓮に対する想いが描かれることが多いので、この『ぼく地球考』は実際の話には出てこない場面であっても(似た場面はありましたが)、木蓮が紫苑に対して気に入られるよう頑張っている姿が想像できてよかったです。