アメリカで黒人文学に深く関わる作家ミラーさんと画家クリスティーさんのコンビが協力して、実在の名高い黒人作家リチャード・ライト氏が成功を収めるきっかけとなった人生の一場面を描いた感動の絵本です。
リチャード少年は1908年にアメリカのミシシッピ州で貧しい黒人の両親から生まれ、ほとんど学校にも行けず、成長して本が読みたいと望んでも図書館は黒人には利用出来ませんでした。メガネ店で働いていた彼はどうしても本を読みたい気持ちを諦められずに、ある日同僚の目上の白人の人に相談します。
1920年代という本書の時代背景のせいで、黒人青年にとっては真に不自由で腹立たしさも沸き起こりそうな偏見に満ちた白人の態度にもじっと耐え忍んで、唯目的を達する為に無学を装い自分を卑下して見せるリチャード少年の謙虚な人間性に深く感動しました。穏やかでおとなしい性格であっても黒人をあからさまに馬鹿にして笑う白人に対して怒りを感じる部分が当然あったと思いますが、彼の心の中に「白人とはそういう風に考える者なのだ」という認識があって、諦念ではあるかも知れませんがそれでも争いや諍いを避けて懸命に振る舞う大人の態度が私にはとても立派に思えます。彼が本と出会って文学に感動し作家として成長する過程で、偏見を持つ白人から反感を持たれずに実力を認めさせた成功の理由は幸運に恵まれた事と共に彼の人徳にもその一因があったのだろうと私には思えますし、何よりそれが一番素晴らしく喜ばしい歴史的な事実でありましょう。不幸な時代にも希望を捨てずに心を強く持ってがんばり続けた黒人文学作家の真実の物語には人それぞれに感じる物があり学ぶべき点も多いと思いますので、この絵本をあなたもぜひ読まれます様にとお奨め致します。