ジャック・タチによるユロ氏シリーズの1作目。思わずクスッと笑ってしまう日常起こりうる出来事を海辺でバカンスを過ごすユロ氏とその周りの人々が観る者に与えてくれる。まるでいたずらっぽい子供がするような行動を大人のユロ氏が取るため、ユロ氏は茶目っ気たっぷりでどこか憎めないキャラクター。そんなユロ氏を微笑ましく見入ってしまう。バックに流れる音楽と、ジャック・タチ演じるユロ氏のパントマイムのような動きが、ハリウッドのドタバタ調の喜劇とは異なる情緒たっぷりの雰囲気を作り上げている(特に音楽の使い方は絶妙)。そして、浜辺で過ごすバカンスのひと時や鐘を鳴らすことにより皆が昼食に集まったり、夜になってホテルでの団欒や仮装舞踏会などのシーンを見るとゆっくりと流れる時間の中で過ごす登場人物たちが笑いだけでなく忙しい現代の人に癒しを与えてくれるような感じがした。きわめつけの大花火大会はこの作品の中で最もおなかを抱えて笑ってしまうところ。そして、ラストシーンはなんともおしゃれに仕上がっており(ここはパートカラー)、この映画がバカンスを過ごすユロ氏のからの便り(贈り物)に思えてしまった。
アフタヌーン・ティーでも楽しみながらゆっくりこの映画を楽しむのがお薦めの一作だ。