進学希望の高校三年生が主人公。よくある青春小説かと思って読み始めたのですが、前半早々に衝撃的な事件が起こって本書のメインテーマが立ち現れ、そこから一気に引き込まれていきます。主人公の揺れる心情、ときに自分をもてあます様子の描写が秀逸。本の帯に「人はしくじるべきときにしくじれるかどうか。」とあります。犯した過ち、他人を傷つけたり傷つけられたりすること、そしてその後の対応――私自身の生き方についても考えさせられました。
主人公の成長物語とともに、もうひとつのテーマとして家族や社会との関わりということがあります。著者の「結婚のかたち」(http://jbpress.ismedia.jp/category/marriage)というタイトルのウェブ上の連載を読むと、著者の考え、バックグラウンドがわかって、小説がより楽しめると思います。最近同じ著者により出版された、中学生が主人公の「おれのおばさん」もよかったですが、個人的にはこちらの方が読み応えがありました。大学編、20年後の再会編(本書を読むと意味がわかります)を読んでみたいです。この著者の、人生に真摯に向き合う姿勢にとても共感を覚えます。