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ぼくたちが聖書について知りたかったこと
 
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ぼくたちが聖書について知りたかったこと [単行本]

池澤 夏樹
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

「聖母マリアは処女ではなかった」「最後の晩餐でイエスが飲んだのはワインではない」など、パリ在住の池澤夏樹氏が従兄弟である聖書学の泰斗・秋吉輝雄氏と語り尽くした目からウロコの聖書・キリスト教の姿。

内容(「BOOK」データベースより)

秋吉輝雄教授(聖書学)との対話。「ぼくにとって宗教は知識だ。素人代表として、ぼくは碩学の門を叩いた」。その成り立ちから現代社会との関わりまで、いま、人類最大のベストセラーを読みほどく。

登録情報

  • 単行本: 288ページ
  • 出版社: 小学館 (2009/10/28)
  • ISBN-10: 4093878471
  • ISBN-13: 978-4093878470
  • 発売日: 2009/10/28
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.8 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
これは久しぶりに面白いと思った聖書関連本。作家の池澤夏樹と、本人の親戚であり聖書学者である秋吉輝雄との聖書に関する対談集。秋吉氏は旧約聖書学の碩学で、新共同訳聖書の翻訳編集委員も歴任している。内容は、旧約聖書を中心にした聖書についての一般的なトピックを、池澤夏樹が秋吉氏から「聞き出す」手法で解説するもの。聖書の成り立ちから伝承、キリスト教、イスラム教との関係性、そして現代との関係等々、実に幅広く、かつ興味深く話が展開されている。
 個人的に特に面白いと思ったのは、旧約聖書を記した古代へブル語には「時制」がなく、過去も現在も同一につながっているという部分。さらに、その旧約聖書がギリシア語に翻訳された際にヘレニズム文化を包含した「意訳」がなされ、結果的にギリシア的な「時制の概念」が含まれるようになったという部分。これは、後に新約聖書が誕生するに際して、決定的な影響を与えたように思われる。
 また、ユダヤ人とは、その発祥から今日までの3500年の歴史において、いわゆるディアスポラ(離散)の状態にあったのが普通であるというくだりも面白かった。歴史上ユダヤ人が国家を形成したのはダビデ王朝の時代とバビロン捕囚後、そして現代の、トータルでわずか500年しかないそうだ。今もユダヤ人は世界中に離散しており、その状態は3500年前からまったく変わっていない。今なおニュー・ヨークにはイスラエル本国の人口に匹敵する数のユダヤ人が暮らしている。
 いずれにせよ、聖書に興味がある人には一読をお勧めする。ただし、ある程度聖書に関する知識がないと理解するのが難しいと思うので、まずは聖書の大体の構成を学んでおく方がいいと思う。
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17 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By yukkiebeer #1殿堂 トップ50レビュアー
形式:単行本
 芥川賞作家の池澤夏樹が、聖書学が専門の立教女学院短大教授・秋吉輝雄の門をたたいて新旧の聖書についての疑問をぶつけながら進めた対話を編んだものです。あとがきによれば、秋吉は池澤の父・福永武彦の従弟という親類関係にあります。

 「ぼくたちが…知りたかったこと」という書名の与える卑近な印象とは裏腹に、二人の対話は西洋文化に対する高い教養、長い海外在住経験、そして聖書に関する豊富な知識に裏打ちされたかなり専門的な内容を含んでいます。聖書について全く知識のない読者がいきなり手にするにはハードルが高いでしょう。

 私はヘブライ文化がヘレニズム文化に接触することによって聖書の性格が変容していったという指摘を大変興味深く読みました。
 ユダヤ人は歴史を過去から現在に縦に連なるものではなく、並列的なものとして捉えていたが、ギリシア・ローマ世界では一転、歴史を時間の遠近法の中でとらえようとした。旧約から新約へと移行したときにユダヤ教から大きく離れて行った端緒をそこに見るというのです。

 その他にも、現世が仮の姿であって、エデンの園こそが本来あるべき理想の世界として描くのはプラトンのイデア論が根源であり、ここにもヘレニズム文化の影響が色濃く表れていると指摘します。ユダヤ教ではエデンから追放された人間が現実にいかに対処するかが問題で、エデンへの回帰を想定していないというのです。

 二人の対話はこうしたユダヤ・キリスト教文化と照らしながら日本文化にも焦点をあてていきます。ユダヤ人問題を日本人が理解できない理由のひとつに、自然が境界線を与えてくれている島国の住人には自分が何者であるかを疑わず、定義しようともしない地理的歴史的要因があるとしています。

 示唆に富んだ内容が多く、一読では理解が進まないところが多いものの、再読、三読に値する書であるのは間違いないという印象を持ちました。
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34 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ソコツ トップ100レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
フランクな対談の書ながら、とても勉強になる。なぜか著者名としてはあがっていないが、聖書学者である秋吉輝雄氏の専門知の厚みとその理解の深さがものすごく、『聖書』に関する基礎知識から最先端の研究に基づく知見まで、色々と知ることができる。池澤氏の、秋吉氏に対する「何も知らない素人」としての聞き手ぶりも巧みである。
秋吉氏は「旧約」の方が特にご専門なので、自然な話として、ユダヤ文化・社会・宗教の精髄としての『聖書』という見方が中心となっている。「ユダヤ人」とは何なのか?という解等困難な問いを常に意識しつつ、彼らの言語や生活習慣や世界認識の特殊性を様々な角度から説明し、『聖書』という世界最大級の重要書の意義を語っていく。「新約」の解説にしても、それがユダヤ世界とどのように連続し、他方で決定的な差別化をなしとげたのか、という観点から行われている。
『聖書』は単に「ユダヤ教」や「キリスト教」の聖典であるに留まらず、その物語が発生した同時代の文化状況や、それが「書」として編集され人々に受容されていく過程での政治的な諸力の、いわば「織物」として出来上がっているという歴史的な事実を、平易に伝えてくれる啓蒙書であると思う。
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