先に言うと、私は「いかにもヒューマニズムな文章」に出っくわすと、
顔を伏せたくなる人間だ。この本の行間から溢れる熱意は、「死」という
圧倒的な説得力を持つ現実とセットでなければ、私には受けきれなかったかも。
著者の冨安氏はあまりにまっすぐな人だ。中学校あたりで友達にいたら、
むしろ自分だったら小馬鹿にしていたかもしれないというタイプだ。
しかしそういう正直さが、葬儀屋さんという職業にぴたりとあったのだろう。
もちろん、現実的に考えるビジネスマンとしての横顔も持ち、海千山千の投資家を
頷かせるだけの企画力の持ち主でもある。
命に寄り添おうとする心優しい男の呟きでもあり、葬儀というビジネスで
顧客をしっかりと満足させる社長の咆哮でもある。両面とも、リアルだ。
人生でもっとも感情が起伏する一コマに居合わせる仕事だからこそ、
また値段をブラックボックスに入れっぱなしの阿漕な業者もはびこる業界だからこそ、
「お客さんの気持ちに寄り添う」ことを至上とする、一見プリミティブな経営理念が
いっそう輝くのかもしれないと感じる。
それにしても、死を直視できない人のなんと多いことか。その事実は、
彼に向けられる誤解となって、取り繕いようもなく立ち現れる。
結婚が破談になったり、喫茶店で心ない言葉を浴びせられたりする話を読んで
考えさせられるのは、一業種に対する偏見についてというよりはむしろ、
(死から)目を背けて、「ないもの」と安心できる、その人間性の軽さについてだ。
それもまた、すべての人が抱える等身大の弱さなのかもしれないが……