2005年に出版された『生きていくのに大切な言葉 吉本隆明74語』に、8つの章立ては同じですが、
本文全体に加筆訂正を施し、新たに14語を加えて『88語』としたものです。
「文庫版あとがき」に「18語を増補」とあるのは誤植と思われます。
新旧見比べて、原本74語+14語=88語であることを数えて確認しました。(←ご苦労さん)
加筆部分としては、親鸞の往相・還相が「元々は中国の仏僧曇鸞の言葉だと知った」などが書き加えられています。
本書は、「大衆の原像」を絶えず繰り込むことを課題とする吉本隆明の生活実感思想に、平易な解説と共感と突っ込みを入れたものです。
吉本さんの言葉が、標語に加えて本文中にも豊富に引用されていて、吉本思想の入門書として格好です。
吉本さんの原本を読むきっかけになればとも思いますが、
吉本さんの生活思想をまとめた実用書として独自性があり、一書としての価値が十分あります。
さらに、上級者には、たおれない思想者吉本隆明の強靱な柔軟性を再確認できることと思います。
「自惚れていわせてもらえば、わたしは吉本隆明の感受や思考のほとんどを皮膚に近いところで理解できると思っている」(214頁)と豪語するだけのことはあるできばえです。
(ただし、このセリフは、284頁で反省、謝罪されています)