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主人公は兄弟みな優秀な中でみそっかすの秀一。
父は婿養子で母に頭が上がらない。母は勉強第一の価値観で子供を支配しようとしている。
叱られる毎日身に置き場の無い秀一は「家出も出来ないくせに」の売り言葉に買い言葉で、
たまたま停めてあったトラックの荷台に乗り、行き当たりばったりの家出をする羽目に。
家出した先で厄介になった頑固でぶっきらぼうなじいさんと、同じ6年生とは思えない程大人びている夏江との交流。
ひき逃げ事件と武田信玄の財宝などミステリーじみた展開もあり、息をつかせぬ面白さだ。なにより、秀一の母に対する気持ちの変化がいい。
支配されっぱなしの投げやりさから、夏江への手紙を不当に盗られた時の怒りの向け方、支配せずにいられない母への哀れみと共感。秀一の成長と自己肯定が胸を打つ。
山中作品の特色であるスピーディーな会話や独白で進行する面白さは健在ながら、ある意味やりきれない結末の本作は異色だ。
しかし焼け跡に立つ、秀一兄弟らに何かすがすがしいものを感じる。
大人になり、子を持つ母となった今読み返すと母の支配せざるを得ない悲しみもこたえる。
ともあれ、これは子供に読んでもらいたい本であるし、大人が読んでも楽しめるエンターティーメントに仕上がっている。
居候先でどんどんたくましくなっていく秀一。
一方、子どもが家出をしているのに、世間体を気にして秀一の家出を隠そうとする母親。
突然、母親に抵抗しだした兄弟たち。
そして、母親を教育ママにしてしまう社会の現状・・・
秀一少年の爽やかな成長の一方で、いくつかの問題提起がなされています。
楽しく読んで、じっくり考えるそんな一冊です。
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