本書は、経済が経験経済に移行する中で、新しい消費者の感性として生まれてきている「ほんもの」とは何かを明らかにし、ほんものの経験経済(財・サービス)を提供できるほんものの企業だけが生き残れるとする経営書です。そして、本書には、ほんものをつくるためのフレームワークをディズニー、スターバックス、ナイキといった実際の企業を例にとって示されています。
ほんものをつくるためのフレームワークは正直言って難解で私の理解を超えるところがありました。著者は経営学者であり、ビジネス戦略を専門とするコンサル会社の創立者です。近年、消費者は、自らの人生においてこうありたいとする自分を表現するもの、いわゆる自分像にぴったりする経済価値をほんものとして購入するようになっており、提供される経済価値と購入者との間に十分震えあう共感をもたらすものが、消費者からほんものとみなされているとしています。本書の内容を実践するためには、エグゼクティブクラスが継続的に組織全体を引っぱっていかなければ実現は困難な課題であることはいうまでもありません。少なくても株主に横槍を入れられて腰砕けになり、短期的成果を追っかける、雇われ経営者には難しいでしょう。しいて言うのであれば創業者、もしくはカリスマ創業者のいた伝統的な大企業が可能性を秘めているでしょう。
では、企業のエグゼクティブでもなく、上記のような企業に所属してさえいない大部分の読者は本書から何を得ることができるのでしょう。経営書を読むとき私がよくやることは企業の進むべき方向性を個人や自分チームに置き換えて読むと自身のこととして読むことができます。本書にも同様の記述があり、個人が最良に行えるものに特化し、他の個人が最良におこなえるものと交換すれば、富は最大化される、とあり、基盤となっているのは個人が「ほんもの」であるということだと述べられています。