主に、作者自身の子育て、孫育ての体験を通して書かれる育児論。
子供を叱らない、罰しない。しかし強固に作られた信頼関係を基礎に、きちんとしたルールを教えてゆく。
根気のいる作業だ。決して楽ではないと思う。表題は「ほんの少しのやさしさを」だが、決して「ほんの少し」ではない。子供を見守る優しさの後ろに、並大抵ではない覚悟がある。読みながら、なかなかこの覚悟に辿りつけない自分を反省させられる。
この作者が、子供を甘やかすだけの放任主義だ、と一部で勘違いされているのは悲しいことだ。
思うに、子育てで一番楽なのは、子供に従ってしまう放任主義。次に楽なのは、子供を従わせてしまう管理主義だ(どちらも後でツケを払うことになるけれど)。
本当に難しい、しかし良い方法は、時間をかけて信頼関係を築き、時を見て教えるべきことを教える、こうした方法だと思う。
この本から学んだ最大のポイントは「どんな子供を育てたいのか」を明確にする重要性だった。
作者は「自分で判断し、自分で行動できる、自立した子供を育てたい」とはっきり宣言している。大変な育児方法を迷わずに行えるのは、その明確な目標があるからだ。
よく「本当に正しい育児法は何か?」という話があるが、考えて見れば無理な話だ。どんな子供を育てたいかで正しい方法は変わってくる。「どんな子供に育って欲しいか」、それを明確にして、そこから方法を考えなければならない。
あなたは、自分の子供をどんな子供に育てたいだろうか? 優しい子、成績のいい子、親に逆らわない子…。
私は、作者の目標に賛成だ。