時代は近未来。
宇宙エレベーターの建設がすでに始まっており、それもおおかた完成に近づいている、そんな時代。
この作品は、そんな時代と、そんな宇宙エレベーターを身近に生きる人々をオムニバス形式で描いた連作モノです。
どの話もその時代を映す透明感と空気に満ちて、
また、直接的に宇宙エレベーターの開発にまつわる話や、
宇宙エレベーターのある人工島で行われているショーの話などというようにどれも違った味を持っており、
かつ個人的には面白く感じた話ばかりで非常に満足でした。
一つピックアップするとなら、自分は第3話の『Distance』でしょうか。
率直に言うと、私は嗚咽を漏らして泣いてしまいました。
『Distance』は、原因不明の病で盲目になった少女・望月ユリと、
ゴキブリとフナムシを足して2で割ったような、
そんな傍からみたら気持ち悪い風貌をした介護ロボット・グレゴリーとの強い絆を描いた物語です。
グレゴリーのユリに対する最後の言葉、そして走馬灯。
個人的には漫画史に残したいほどの名シーンでした。
……ドラえもんも、のび太とお別れするときはあんなことを思っていたのでしょうか。
なんというか、感動の類が『帰ってきたドラえもん』のあのワンシーンに近いものがあった気がしたのです。
何にせよ、たった38ページの話でこんなにも感動したのは、自分は生まれて初めてかもしれません。
言葉じゃ到底表現できない、と言えば自分はしっくりきました……便利な言葉ですね、ホント。
作者の倉橋ユウス先生によると、この作品は全10話構成としっかり終わりまで考えられているようで、
なるほど非常に期待してしまいます。
というより、そんなことに関係なく早く続き読みたいです。
果たして、宇宙エレベーターの行く末やいかに。