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ほかならぬ人へ [単行本]

白石 一文
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (36件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,680 通常配送無料 詳細
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商品の説明

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第142回(平成21年度下半期) 直木賞受賞

内容紹介

愛するべき真の相手は、どこにいるのだろう?
「恋愛の本質」を克明に描きさらなる高みへ昇華した文芸作品。第二十二回山本周五郎賞受賞第一作! 祥伝社創立40周年記念出版。


「ほかならぬ人へ」
二十七歳の宇津木明生は、財閥の家系に生まれた大学教授を父に持ち、学究の道に進んだ二人の兄を持つ、人も羨むエリート家系出身である。しかし、彼は胸のうちで、いつもこうつぶやいていた。「俺はきっと生まれそこなったんだ」。
サッカー好きの明生は周囲の反対を押し切ってスポーツ用品メーカーに就職し、また二年前に接待のため出かけた池袋のキャバクラで美人のなずなと出会い、これまた周囲の反対を押し切って彼女と結婚した。
しかし、なずなは突然明生に対して、「過去につき合っていた真一のことが気になって夜も眠れなくなった」と打ち明ける。真一というのは夫婦でパン屋を経営している二枚目の男だ。「少しだけ時間が欲しい。その間は私のことを忘れて欲しいの」となずなはいう。
その後、今度は真一の妻から明生に連絡が入る。彼女が言うには、妻のなずなと真一の関係は結婚後もずっと続いていたのだ、と。真一との間をなずなに対して問いただしたところ、なずなは逆上して遂に家出をしてしまう。
失意の明生は一方で、個人的な相談をするうちに、職場の先輩である三十三歳の東海倫子に惹かれていく。彼女は容姿こそお世辞にも美人とはいえないものの、営業テクニックから人間性に至るまで、とにかく信頼できる人物だった。
やがて、なずなの身に衝撃的な出来事が起こり、明生は…。


「かけがえのない人へ」
グローバル電気に務めるみはるは、父を電線・ケーブル会社の社長に持ち、同じ会社に勤める東大出の同僚・水鳥聖司と婚約を控えて一見順風満帆に見えるが、一方でかつての上司・黒木ともその縁を切れずにいる。黒木はいつも夜中に突然電話を寄越し、みはるの部屋で食事を要求した後、彼女の身体を弄ぶのだ。みはるはみはるで、聖司という婚約者がいながら、何故か野卑とも言える黒木に執着している。黒木が言うには、五歳から大学に入るまでの十三年間、都内の養護施設を渡り歩いていたというが、黒木を見ていると、苦労が必ずしも人を成長させるとは限らない、とみはるは思う。
一方で、社内では業績不振も相俟って、他社との合併話が進行していたが、それを巡る社内の政争のあおりを受けて、黒木の後ろ盾である藪本常務の立場が危うくなっていた…。

登録情報

  • 単行本: 304ページ
  • 出版社: 祥伝社 (2009/10/27)
  • 言語 日本語, 日本語
  • ISBN-10: 4396633289
  • ISBN-13: 978-4396633288
  • 発売日: 2009/10/27
  • 商品の寸法: 19.2 x 13 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (36件のカスタマーレビュー)
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56 人中、48人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 男性目線, 2010/1/21
By 
pommier_pomme - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)    (トップ100レビュアー)   
レビュー対象商品: ほかならぬ人へ (単行本)
直木賞を受賞した、という安易な理由で読みました。作者にも作品にも最初から先入観がなく、また、ここが重要ですが、私が女性読者であるためか、表題の「ほかならぬ人へ」の作品の良さがそこまで理解できませんでした。
名家に生まれた落ちこぼれである主人公の男性のイメージは、線が細く優柔不断で、そのくせ男性のプライドをこっそりと秘めている人。その男性が、周りに現れるそれぞれの魅力を持った女性たちのあいだで揺れ動く。
かなり男性目線の物語運びだと思います。男性の感傷がこんなものだとは言い切れないし、私の勝手な偏見ですが…。複数の女性から好かれ、選ぶ側にまわる男性の設定は、ゲームでも、男性用の小説でも、よくあるものだと思います。
筆運びが繊細なので上質な物語になっているのですが、筋は、「育ちがよろしくなく、幼稚な美人か、仕事も料理もできて、スタイルも抜群、でもブサイク、さて、どちらの女性をとる?」と巷でよく交わされる究極のニ拓を要は物語にしているだけのようにも思います。女性を理想化し、やさしいものに昇華しすぎているようにも、感じました。
女性側からこのほかならぬ人への世界を見てみたいものです。
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80 人中、66人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 ここには見えない希望がある, 2009/11/11
レビュー対象商品: ほかならぬ人へ (単行本)
恋愛小説が二本収録された本書は、2006年に上梓された作品集『どれくらいの愛情』の続編のような内容である。
かねてより私は、なぜ作者がかくも不倫を描き、さもそれこそ本物の愛であるかのように展開させるのかを疑問視していたのだが、最近作者が言いたいことが解ったような気がする(ちなみに私は本書を読んだ後『どれくらいの愛情』を読んでいる)。

おそらくこの作者には世の中の男女の繋がり方がいびつに見えて仕方がないのだろう。
「相手の妊娠を機に結婚」とか「三年付き合って今28歳だから結婚するにはちょうどいい時期」とか、そういう平凡な理由は「間違った組み合わせ」にしかならないと思っているのかもしれない。
例えば「ほかならぬ人へ」では主人公が以下のように自問するシーンがある。
「この世界の問題の多くは、何が必要で何が不必要かではなく、単なる組み合わせや配分の誤りによって生まれているだけではないだろうか。(中略)どうやったらそれぞれが『ちゃんとした組み合わせ』になれるのだろう?」

「ちゃんとした組み合わせ」は「間違った組み合わせ」の後でしかその正しさを証明できない。
いや、むしろそれはたかだか前の組み合わせが「間違った組み合わせだった」ということを露呈させることしかできない。
要するに真正性というものは直接語ると嘘になってしまうのだ。
だから彼は不倫を描かなくては本当の愛(というと大袈裟だが、相手への思いやりとか、大切に思う気持ちの真正性)を描くことはできないと思っているのかもしれない。

そう考えてみると、白石一文が歩む道は終わりなき困難な道であろう。
なぜなら彼が伝えたいことは彼が語っていないことであり、いわば語りえぬものを彼は語ろうとしているからだ。
語りえぬものは語られない。それはただ示されるのみである。
そしてただ示されるだけのものは誤解・誤読を免れない。

なんということだろう。
私は7年間彼の作品を読んできたが、そのどれをも誤読していた可能性がある。
白石一文が伝えたいこと――それは今を生きる私たちにとってあまりに重要なこと――をもう一度改めて受け取り直さなくてはならないのかもしれない。
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0 簡単に話をくくりすぎなんだなぁ。, 2010/11/8
レビュー対象商品: ほかならぬ人へ (単行本)
直木賞でしたね。そう思って読むと、「最近の直木賞はなぁなんか商業ベースなんだなぁ」と思ってしまう。 本書も実にあっさりしすぎちゃって、読み易く仕上がっている感じが、どうも鼻につく。白石の初期作品に見られる理屈をこねくり回し、愛についてあーでもないこーでもないと書き殴り倒していくところが微塵も感じらんない。 ストーリーは簡単にはしょらて感情移入できないままに終わってしまう。 現実味が感じられずそんな話があるのかよ!と疑いつつ、作中の男女にぐいぐいと引き込まれていく作品ではない。男や女のその性に執着してしまう性(さが)が伝わってこないのだ。 とことん、書き尽くして欲しい。数行で何ヶ月も飛んでしまう恋愛小説は読みたくはないのだよ。
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