へうげもの8服は豊臣家転覆を図る千利休を軸に展開していく。
計画を進めながらも悩み、怨み、絶望し、そして尽きぬ反骨心に身を焦がす利休。
朝鮮からの使節に激怒し出兵準備を進めながら、一方で利休とは溝を深める孤独の秀吉。
己が野心のためにこの機を利用せんと、言葉巧みに秀長を横死させる黒田孝高(後の如水)。
大徳寺三門での検分を経て利休失脚を秀吉に促す三成。
来るべき利休切腹と朝鮮出兵を前に鬱々とした内容が加速する。
特に第84席の家康と利休の茶会は見事。
家康から明智光秀の辞世の句を聞き、ショックで光秀の白に覆われる黒基調の利休。
光秀の無念が利休に届いた瞬間をみごとに視覚化したコマは必見。
それを機に利休は己が行状と限界を悟り、暗殺計画を取りやめ楢柴を割って自らの刑死へと進む。
一方家康も利休から大いに影響を受けたようだが、それは次の9服で。
われらが主人公の織部と数寄のニューエイジたちは合間合間にギャグ爆弾を炸裂させる。
織部&右近プロデュースの京都伊達祭りでは政宗と十字架が合体、その姿にメロメロになる女。
それと前後して政宗・氏郷コンビは本気のドツキ漫才を披露、後の喧嘩四つを編み出す。
江戸と肥前名護屋の城作りでは家康の人妻開墾と清正のボクシング築城講座。
(文字で見てもさっぱりわからないと思うので、是非マンガで見て欲しい)
各々が見せる顔芸も相変わらず卑怯なまでに冴えている。
これらのお陰で重苦しい展開も楽しめるというものだ。
織部は染付け茶碗に数寄の活路を見出すも、未だ己の姿を見出せず利休の言葉に戸惑う。
しかしいつの間にか名声や人望を得てたり、大物になる予感はしてきた。
瀬戸屋のポップな看板と橋立の茶壷や高麗茶碗「引木鞘(狂言袴)」といった名物も作品を彩る。
史実と創作が入り乱れる中で、旧世代の残照と新時代の胎動を感じる巻でした。