へうげもの12服、前半は織部プロデュース山里丸や健気に暗躍する三成一派を軸に
上田・佐竹・伊達ら織部の弟子たちがイキイキと駄目っぷりを発揮。
後半は寂しさと期待感を高めながらクライマックスは涙と笑いの巨星墜つ(乙)!
さりげなく関ヶ原へむけて登場人物も増加中。
表紙は銅地に金字のフルメタル・ジャケットと蛸坊主イラスト、巻末には人間関係図を収録。
これまでも大嘘こいてきたへうげものだが、秀吉臨終においても見事にやってくれた。
他の作品でも「最も難解」と評されるドラマチックな秀吉の人生を再確認させてくれた上に
信長の”華”・利休の”侘び”と比肩する価値観と銘”楽”を秀吉の美学に与えたことは見事。
しかも楽焼の意味でなく普段我々が使っている意味の”楽”であり、
黄金の茶室を愛妻おね(北政所)の待つマイホームと見立てているところからも
喫茶文化が茶室から茶の間に移ることを暗示しているのかもしれない。
臨終に至るまで周到に張り巡らされた伏線・盛り上がる展開など物語構成もよく出来ていて、
読後に充実感が漂うだけでなく解釈や今後の動向、そして人生について考えさせられる。
また価値観の違いはあれど秀吉の理解者として描かれている織部や家康は大物の風格漂う。
特に臨終前の秀吉と面会した後秀忠を殴って叱りつける家康には得も言われぬ爽快感を感じた。
どのキャラも多面的で憎めないだなんて素晴らしいじゃないか!
軽く読み進められるギャグ要素と重層的に練りこんだ人物造形を両立させ、
作品全体としてまた一段と凄みを増してきたと言える一冊です。
だけど九州人に「新日本ハウス」って言っても、何となく分かるけど分かんねーよ。(笑)
(参考 http://www.youtube.com/watch?v=KDv7NxYpntk)
もう一つ大事なことだが、遂に志野茶碗の最高峰「卯花墻」(国宝)登場。
作品内で詳しい説明は全く省いているがこの単行本は言うなれば白(志野)の時代であり、
もしかすると黒(黒織部・織部黒)の時代を経て緑の時代へ…という流れだろうか?