表紙カバーを見れば一目瞭然のクリスマス話。というか、前巻辺りから敵キャラらしき存在がいなくなってしまったこにより今回はバトルらしい要素も影を潜め、日常にスポットを当てつつクリスマスその日へと向かうウキウキ青春物語の様相を呈している。
しかし、朱音に対する統吾のラヴリーな想いは何だろう。くすぐったくなるほどの「朱音ラヴで仕方がない」光線が全編に渡ってダダ漏れになっている。これは、アレか?作者自身が現実に恋しい人でもできて、その想いを登場人物に託して語りに語っているのか?そうなのか?と問い詰めたくなるような統吾の朱音溺愛振りである。この路線に作者らしい軽妙でセンスの利いた会話のやり取りがいつも以上に笑わせる内容となっている。
それを加速させるのが新キャラ。その出自といい、キャラ設定といい、特徴的な語り口といい実にナイスな娘っ子の登場が本作をより面白く彩っている。過去の経緯を顧みて今後の目標を見つける辺りは素敵に健気でもあり、思えば親兄妹とも友人達とも離れて別世界に飛ばされているにも関わらず、本シリーズの人物達は強いなぁ〜などと改めて思わせる面もあったりする。『ぷれい部』のメンバーに足りなかった最後のピースが収まったような形にもなり、今後の展開を楽しみにさせてくれそうである。
ただし、本巻に限らず高遠作品はどれもそうなのだが、このままシリーズが終わってもいいような、ある意味綺麗な纏め方をするので先が読めないところがある。もちろん続きを予感させる要素も忍ばせているし、統吾&朱音だけではないところにカップルの登場も予感させているので、個人的にはどんどん続けてほしいシリーズだと思うのである。