本書は小説ではない。著者夫妻が豪華客船「飛鳥」のロイヤル・スイートにて、100日間世界一周旅行を行った時の旅行記だ。横浜からインド洋、地中海、大西洋、太平洋と船は進み、色々な土地に立ち寄って、約100日かけて横浜に戻る。ロイヤルスイートでの、この旅行費用は、夫婦で3千数百万を要する。この大金をポンと出せる著者は、本書で色々と謙遜をしているが、我々読者は、著者にとって、これはたやすく出せる金額だと想像する。
各地で著者が体験した事が、多数のカラー写真を使って紹介されている。また、それぞれの国を見る著者の眼は鋭い。さすが多方面に造詣が深い著者の眼のフィルターだ。一応、本書は浅見光彦が雑誌記事を書くために飛鳥に乗り込み、偶然小説家の内田センセと出会ったという体裁になっている。しかし、ほとんどが創作ではない著者の旅行記であり、巻末で光彦が内田センセと対談している程度だ。その対談では、飛鳥の長短が織り交ぜて話し合われている。本書が飛鳥の宣伝用の書物でないため、忌憚の無い意見となっているが、総じて飛鳥の印象は大いに良いものの様だ。
本書があれば、豪華客船での世界一周旅行を疑似体験出来る。
著者の筆さばきの巧みさが、それに華を添える。