ガブリエル・バンサンの著書と初めて出会ったのは話題の処女作『アンジュール ある犬の物語』でした。嗚呼、何て著者のデッサンは複雑な描写でもなく柔らかなどちらかと言うと線の少ないデッサンなのにこんなにも物語るものがあるのだろうか…そして言葉数が少なくとも、それ以上に与えられるものがあるのです。バンサンさんの自在な線が描く世界は何て美しいのか、まるで描かれたもの全てが動き出してしまうのではないかと思ってしまうのです。此方の『ふたりで しゃしんを』では、外出の際いつも何故だかある戸棚の引き出しに鍵をかけるアーネスト。ある日、アーネストが買い物に出掛けた時セレスティーヌはポットに隠してある鍵を使ってその引き出しを捜索します。そこから出てきたのは沢山の“写真”。でもその中にはセレスティーヌの写真がありません。それなのに自分の知らない子達が写真の中には溢れていて。そしてセレスティーヌはジャラシーを焼く、というお話です。父親代わりのクマのアーネストオジサンと捨て子だったセレスティーヌの愉快で素敵な日常のお話がバンサンさんの豊かな色彩の淡い柔らかな水彩タッチで、確かな優しさと愛に溢れた眼差しで愛を物語っています。私事ですが私自身、父親や家庭環境に恵まれない家庭で育ったもので…ゴミ箱の中から偶然見付けたまだ目も開かない赤ん坊のセレスティーヌにこんなにも一心に愛情を与え、心配するアーネストオジサンが本当に素敵でその表情や仕草を見ているだけで何だかとても微笑ましく羨ましかったです。今回のセレスティーヌのジェラシーは一心に愛を注ぐアーネストとの二人の関係だからこそ、生まれたものなので嗚呼素敵だなと益々二人の虜になってしまいました!これからアーネストとセレスティーヌにどんな物語が待っているのかとても楽しみです。これからもずっと素敵な関係でいて下さいね。本当に素敵な本をありがとうございました!!