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ふたつの故宮博物院 (新潮選書)
 
 

ふたつの故宮博物院 (新潮選書) [単行本]

野嶋 剛
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

戦争と政治に引き裂かれ、「北京」と「台北」に分かれた、ふたつの故宮。同じ名をもつ東洋の二大博物館が、相容れない仲となって約半世紀が経つ。しかしいま、中国と台湾の歩み寄りが、両故宮をにわかに接近させつつある。数々の歴史的秘話や、初の「日本展」へ向けどのような水面下の動きがあったかを明らかにしながら、激動を始めた両故宮に迫る最新レポート。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

野嶋 剛
1968年生まれ。上智大学新聞学科卒業後、朝日新聞に入社。佐賀支局、西部本社などを経て、2001年からシンガポール特派員。イラク、アフガニスタンで戦争報道を経験し、『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社、2003年)を出版。東京本社政治部記者などを経て、2007年から2010年まで台北特派員を務める。中華圏における政治、外交、文化など幅広い分野の取材・執筆を続けており、現在、朝日新聞国際編集部次長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 231ページ
  • 出版社: 新潮社 (2011/06)
  • ISBN-10: 4106036827
  • ISBN-13: 978-4106036828
  • 発売日: 2011/06
  • 商品の寸法: 19.2 x 13 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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32 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
民進党政権下での故宮博物院改革についての台湾の要人へのインタビューを中心とした1章、中国の在外文化財買い戻しをあつかった6章、最近のニュースをあつかった7章が面白く読めます。2から5章の故宮文物の流転を扱った部分は他の本も多いのでどうということもありません。

 しかし、著者は、朝日新聞政治部出身の方で「イラク戦争従軍記」という著書もある人です。十三頁に「私の専門は政治・外交である」と書いています。博物館・美術館には縁のない人らしく見当外れの記述やミスリードが多すぎて読むに耐えません。

 例えば、二十七頁「明、清の文物については、共産党による革命後の文物蒐集の成果もあって、北京故宮が質量とも勝っている。」とある。実のところ「量」はともかく特に「明代文物の質」「清朝宮廷文物の質」は問題になりません。勿論、北京のほうが優れている分野はあります。明末から清中期までの文人の書画です。さらに、その直後に「古代の出土品については、(中略)台北故宮は皆無に等しい。」、あれ、台北故宮にあるあの多量の青銅器は出土品じゃないのかなあ。この一頁だけで2箇所おかしな記述があります。
 また、七九頁に、溥儀が故宮の書画や文物を盗んで売ったと書いてあります。実は溥儀はあまり売っていないようです。北京故宮が誇る「清明上河図巻」あれは溥儀の所持品を1949年に満州で差し押さえたときの荷物からでてきたものです。もし溥儀が持ち出さなかったら今は台北にあったでしょう。同様な物は多く、北京故宮は溥儀に感謝して当然ではないでしょうか。あげていくときりがありません。
 まあ、インタビュー相手の中国人の話を鵜呑みにしているんでしょうね。例えば、181−182頁に、昭陵六駿について、上海の海外文物研究センターの陳文平が、米国人が盗んだように言っているのをそのまま無批判に書いています。実際は、1915年ごろ、陜西都督 陸建章が袁世凱に献上し、袁世凱死後、遺族によってパリとニューヨークに店をもつC.T.Looへ売られたのです。
 朝日新聞記者は裏をとるということはないのか、と思っています。また、インタビューした人たちにゲラを送って間違いないかやるということをやっているのかどうかと疑っています。
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
朝日新聞の記者(現在編集部。台湾に4年駐在。)の著。一読して良質のミステリーを読んだような爽快感があった。今年6月に出版されている。

台北と北京にある故宮博物院。いうまでもなく前者の主要文物は、日中戦争の時に、箱詰めされて、中国大陸を転々とし、最後には軍艦で蒋介石により台湾に運ばれた。「王朝(政権)の正統性」を示すためにもぜひ必要なものだったという。後者は、紫禁城に残った文物に中国各地から集めた、あるいは最近発掘された文物を加えている。

どちらが優れているとかは諸説あるようだが、両博物院から出品してもらい日本で大規模な展覧会を行おうとの企画があるようだ。それについては、司馬遼太郎、平山郁夫両氏も晩年、大いに貢献してくれたという。 実現するまでのハードルとして、双方の博物院の「名称」をどうするか(最終的には、「北京故宮」と「台北故宮」で何とかなるようだが・・。)、そして日本で出展中に大陸からの「差し押さえ」があってもそれを免除する法的手当て(今年3月の通常国会で成立)が問題となったそうだが・・。)も必要だった。

→その「ハードル」もクリヤされたので、近々、開催されるのかな?(新聞報道によると、「海外美術品公開促進施行令」が9月15日から施行されるそうで、これですべて準備はできた。台湾の馬総統は、「2013年開催を希望している・・」らしい。)

これらの事実と、台湾の政権の「台北故宮」の取り扱い方、最近の中国大陸への美術品の「還流」などのテーマについての著者の見方が縦糸、横糸となり、興味深い中国、台湾の近況の紹介本となっている。

中国美術品に詳しい人が見たら、「事実と違う」という箇所もある(?)ようだが、まあ著者は政治部とか専門だったから(沢山インタビューして裏をとっているが)、多少の間違いはあるかも・・。ま、それを補って余りあるような、鋭い「政治的分析」が提示されています。

*上記レビューを書いたあと、2012年1月からの、「北京故宮」の東京での展覧会が発表されて、「そうなんだ!やっぱ『相乗り』は無理なんだね!」と感心(寒心)した。「日中国交回復40年記念」らしい。後援は朝日新聞社ほか・・。まあ台湾が総統選挙前で動けない時期でもある。先に企画を打ち出したほうが「正当性」を印象付けられるのかな??
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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
某週刊誌で福田和也が「実に読み応えある」と絶賛していたので、購入してみました。
著者の野嶋剛氏は、2007年から2010年まで朝日新聞の台北支局長だった方。
新聞記者らしい取材の仕方で、バラエティーにとんだ登場人物のエピソードを読んでいくうちに、あっという間に読み終えてしまいました。
紫禁城にあった文物がどうして海を渡り台湾へ行き着いたのかや、そもそも、なぜ紫禁城を出なければならなかったきっかけはなんだったが数々の証言に基づいて説明されています。
故宮の文物と共に大陸各地を転々とし、その後台湾へわたっていった人の話は実にリアルで絵巻物を見ているかのようです。
また一見博物館とは無縁そうに見える「政治」と「文化」との切っても切り離せない中華文化ならではの理由を知るにも納得の内容でした。
また意外だったのは台湾にたどり着いた文物とは別に、諸外国へ旅に出た宝物に日本の骨董商が絡んでいたこと。大阪や東京で盛んに取引がされていた話しには驚きました。
最後には注目の日本展への展望が書かれています。
平山郁夫や司馬遼太郎といった大御所も、日本展実現に向けて働きかけていたとのこと。
日本展開催に向けての興味深い記述も読みごたえがあります。

結論として、中国・台湾の両故宮はただの博物館ではなく、政治と密着した中華思想そのものだということがよく理解できました。
歴史の流れに翻弄されその結果今の場所に至る、その理由がよくわかる一冊でした。
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