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ふたつの嘘 沖縄密約[1972-2010] (g2book)
 
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ふたつの嘘 沖縄密約[1972-2010] (g2book) [単行本]

諸永 裕司
5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容説明

沖縄密約をめぐる二人の女の物語
本書は、沖縄密約をめぐる国の嘘によって人生を断たれた元新聞記者・西山太吉と、国の嘘を認めさせようと願い、動いた人々の記録である。
第一部では、「夫の嘘」と「国の嘘」に翻弄された西山の妻の半生をたどる。
第二部では、国による「過去の嘘」と「現在の嘘」に挑んだ女性弁護士の戦いに光を当てる。西山が「最後の戦い」として挑んだ情報公開請求訴訟をたどる。
情報公開をめぐる法廷で、かつて否定をつづけてきた密約を認めた元外務省高官は、こう語った。
「嘘をつく国家はいつか滅びるものです」。
あの日から、三十八年。 沖縄をめぐる「嘘」のあとを追った。

〈本書の抜粋〉
 自宅の電話が鳴った。めずらしく受話器を取ったのは夫(西山太吉氏)だった。
「作家の山崎ですけど」
 そう聞いて、夫は同姓の元同僚からだと勘違いした。
「最近、どうしてるんや」
「私は作家の山崎豊子よ。『太陽の子』や『沈まぬ太陽』は読んでないの」
「読んじゃおらんよ」
夫は間髪いれずに言い放った。山崎にとっては屈辱的な返答だっただろう。それでも丁重な口ぶりで、ぜひ(『運命の人』を)書かせてほしいと迫った。
「あなたの人権はぜったいに守りますから」――。

【目次】

〈第一部〉「夫の嘘」と「国の嘘」――西山太吉の妻 啓子
【序 章】十字架
〈ひそかに情を通じ〉新聞記者の夫の罪を問う起訴状の一言。あれから、すべてが狂った。夫はペンを折り、社会から抹殺された。一方で、密約は葬られた。
【第一章】 暗転
受話器をとると、女性の声がした。外務省の事務官だという。「ご主人の帰りは遅いの?」切る間際に、舌打ちが聞こえた。スキャンダルの予感がした。
【第二章】 傷口
事件後、啓子は日記をつづっていた。〈夫婦でいていいのか。果して、夫婦と云えるか〉〈すべてから逃れ得るには、死よりは道はないのだろうか〉
【第三章】 離婚
二十年近くも別居を続けてきた。すでに気持ちは離れていた。でも、なかなか決断できない。生ける屍のようになった夫を前に、啓子は揺れていた。

……以下<目次をみる>をご覧ください

著者について

諸永 裕司
(もろなが・ゆうじ)
1969年生まれ。東京学芸大卒。93年、朝日新聞社入社。京都、つくば両支局、「AERA」編集部、社会部、「週刊朝日」編集部などを経て現在はアサヒ・コム編集部所属。著書に『葬られた夏 追跡 下山事件』(朝日新聞社)がある。

登録情報

  • 単行本: 322ページ
  • 出版社: 講談社 (2010/12/22)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062166852
  • ISBN-13: 978-4062166850
  • 発売日: 2010/12/22
  • 商品の寸法: 19 x 13.2 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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21 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 沖縄密約問題や最近公開された外交文書を理解する上で、大変わかりやすく、読みやすいノンフイクションです。沖縄密約事件を理解する上で、少し甘すぎるという批判もありますが、国家の密約について何の予備知識のない読者にとって、二人の女性にスポットを当てながら、新聞記者らしい平易な文章と心憎い構成が一気に読ませます。
 40年前のいわゆる「沖縄密約事件」について、米国はすでに密約文書を公開していますが、日本の外務省は一貫して、公開を拒否し、しかも「密約文書は存在しない」とまで言いきって逃げ回っています。
 日米密約を記事にして国家公務員違反容疑で逮捕された元毎日新聞の西山太吉さんは、その後、30年以上も沈黙を守ってきました。去年春、東京地裁の判決で、完全に名誉回復はされましたが、この知られざる西山さんの30数年間の軌跡を啓子夫人自身の目を通して、この書は赤裸々に見事に描いています。国家の嘘と、ときに夫の嘘に翻弄されながらも夫を支える啓子夫人の生々しい迫力には圧倒されます。
 去年4月、沖縄密約文書の開示を求めた東京地裁の判決は、原告側も驚くような歴史的な判決となりました。西山太吉さんも25人の原告の一人でした。この画期的な判決の裏には、情報公開の第一人者の弁護士、小町谷育子さんの存在があったことは誰もが認めています。この書は、第二部として、沖縄密約という国家の嘘に対して正面から対峙する小町谷弁護士の奮闘を伝えています。小町谷弁護士は「この裁判は西山さん個人の名誉回復が主眼ではなく、あくまで国に情報公開を求めるものだ」と文中で指摘していますす。この書を読むと、金権体質の多い最近の弁護士の中で、こうした人権派の弁護士の存在に大いに拍手を送りたい気持になります。
 この書は、西山さんをモデルにした山崎豊子さんの「運命の人」を大きく超える内容と確信します。
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 凱晴 トップ1000レビュアー
形式:単行本
西山事件はノンフィクションの題材として申し分ない。ジャーナリズムのあり方が司法の場におよび、外交と国家機密のあり方が長きにわたり考察された事件だ。それに情事、人間ドラマが絡んでいく。

問題は西山事件をどういった視点で描くべきか。何せ、西山本人山崎豊子も期を同じくして筆を執っているのだ。

西山の妻と情報公開訴訟に挑んだ女性弁護士にスポットライトを当てるのは面白い視点であり、面白い試みだ。夫が「ひそかに情を通じて」いたことをメディアにさらされた夫人のいたたまれなさ。40年近くかかった解決の際の離婚しなくてよかったという安堵ともいえない心境は、想像できるようでいて、想像の範疇を超えている。

女性弁護士も面白い。やはり最後の情報公開訴訟は西山の事件ではないのだ。そのあたりの凛とした割り切りにすら意気込みを感じたりする。

しかし、著者は山崎豊子をどう思っているのか?
山崎豊子は情報公開訴訟中に出版している。フライングだ。「ふたつの嘘」ではワザワザ山崎豊子が西山に電話してきたことが書かれている。フライングした山崎豊子への嫌味だろう。しかし、本文の抜粋(表紙の裏)として山崎豊子の話は相応しいはずもない。全く本質ではない箇所を抜粋としていることに、山崎の知名度に便乗しようとしている出版社を抑えられなかった著者の葛藤も垣間見られる。
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By yukkiebeer #1殿堂 トップ50レビュアー
形式:単行本
 1970年代、米軍占領下にあった沖縄が日本に返還されるにあたり、アメリカ政府が支払うとした軍用地の現状回復補償費400万ドルが実際には日本政府によって肩代わりされることを取り決めた日米間の密約(文書)があった。そのことを当時スクープした毎日新聞記者が企図した「国家の嘘を暴く」という思いは顧みられず、やがてその取材源である外務省の女性事務官と「ひそかに情を通じて」いたことばかりがメディアで書きたてられる事態になる…。

 これは、その毎日新聞記者の妻と、21世紀になってからこの国家の嘘を情報公開訴訟という側面から明らかにしようと闘った弁護士との、二人の女性に焦点をあてて、40年近い時間の中でこの沖縄密約が一ジャーナリストの不義問題に矮小化されてしまった悲劇を今一度見つめ直すルポルタージュです。

 著者は朝日新聞の記者だけあって、大変読みやすい文章で密約問題の歴史的経緯や当事者たちの苦悩を綴っています。
 密約事件そのものはここ数年の新聞報道で、密約文書に署名した元外務省職員の告白や、原告側勝訴に終わった情報公開訴訟の経緯などは明らかになっています。それでもこうしてまとめられた書籍の形で改めて読み直すと、国家の都合によって事の真相が闇に葬られてきたことに苦い思いを感じざるをえません。

 そしてその国家の嘘は、司法の場で暴かれたにも関わらず、行政の場では今も“真実”のまま存続し続けています。

 これはやはり日米という同盟関係における主従関係が、国家の国民に対する責任というものに優先する構図に何ら変化がないということを意味しているのでしょう。
 日米間に対等の関係を構築するには一体どうしたらよいのか、というさらに大きな難問がこの密約問題の向こうの地平線に横たわっていることを思いました。
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