『魔法少女☆仮免許』と一緒に購入し、あちらを先に読んでもうこの作者の本は読まないでおこうと思ったが、せっかく金を払って買ったので読んだ。
ある意味すごい作品だと思う。
ひたすら登場人物が掛け合いを繰り返すだけの『魔法少女〜』に比べて、それなりにストーリーが存在し、主人公に行動の理由付けがなされていて、「人間らしく」というテーマが設定されている本作は、私にとって格段に読みやすかった。
しかし、そんなことは小説ならば当然のことで、敢えて評価するようなものではない。向こうが酷すぎるのだ。
最低限の構成ができていたとしても、この作品に私は魅力を感じなかった。
キャラクターはどこかで見たようなものばかりだし(が、友人の一条には好感が持てた)、なにより妖狐をはじめとする妖怪が学校にやって来るというのは、同じレーベルの『かのこん』で既にやられている。そもそも作品に独自性が全く無いのだ。
それでもまあ、日常描写はそれなりに楽しく読めた。
クラス全員で文化祭の準備をする様子は、高校三年間なぜか文化祭の時期に限って骨折を繰り返した私には、眩しく輝いて見える。
読んでいて何より苦痛だったのが、ラストの展開だ。
いきなり訪ねてきた敵が、自分の理屈を展開して主人公との戦いを強要する。その展開のご都合主義的なことは、これまで読んできた作品でも屈指の驚きの展開だった。悪い方向への驚きである。
だって、わざわざ敵が主人公を訪ねて学校まで来てくれるとか、ない。
いちおう伏線らしきものはあるが、それまで一度も名前の出てこなかった人物が「全てを終わらせに来た」とか言って登場されても、それはやはり、主人公のみならず読者もポカンとするほかないだろう。
ギャグでやっているのなら『ソードマスターヤマト』を超えたと思う。だがどうも、これはシリアスな展開らしい。
恋愛にも終始受け身に描かれている主人公だが、まさか物語を終わらせることすら受け身でなければできないとか、それはちょっと、もう少しガンバレよと言いたくなる。
だが、さらに酷いのはこの先だ。
そこから壮絶なバトルが始まるのであればまだスッキリもするが、そこで展開されるのは、何と延々と「戦え」「嫌だ」「なぜだ」「だって俺は人間だから」という押し問答なのである。
押しかけてきた敵は、ご丁寧に自分がなぜ押しかけてきたのかを説明してくれる。
これほど親切なラスボスが存在しただろうか? わざわざ向こうから来て、理由まで説明してくれたのだから、主人公もさっさと戦ってやればいいものを、ずっと嫌だと言い続ける。
敵も、わざわざ自分から出向いて説明までしたのだから、問答無用で襲い掛かればいいものを、とりあえず論破するまで戦わないという紳士ぶりを発揮する。
主人公も受け身なら、敵までも受け身だ。積極的なのは女の子たちばかりである。作者はよっぽど草食系男子なのだろう。あるいは身近な女性が全て肉食系女子という、サファリパークのような環境で執筆しているのかもしれない。
読みながら「いいからさっさと戦えよ」と思わず呟いてしまった。
その押し問答は延々40ページにわたって続き、さらに驚くべきことに、敵は「そうか」と納得して帰ってしまう。
バトルは、ない。
無論、盛り上がりもしないし、スッキリしないものが澱のように腹の底に沈殿したまま本を閉じることになる。
この作品と『魔法少女〜』を読んで私なりに理解できたことは、この作者は主人公とヒロインがイチャイチャする小説だけを読み続け、ライトノベル作家としてデビューしたのだろうということである。
それは別にいいし、そういう作品が求められているからこそ、これらの作品が出版されたのだと思う。
しかし私には合わなかった。それだけのことだ。