今市子さんの文鳥、たかの宗美さんのボタンインコは知っていたが、こうの史代さんにセキセイインコものがあったとは知らなかった。
セキセイ・フリークとしては飛びつくように買ってしまったが、期待以上のものがあった。
文鳥もボタンも、飼い主(=作者)が完全にギャグメーカーあるいは引き立て役として“落ちて”しまっていて、もちろんそこにこそ可笑しみがあるわけだが、本作はひと味違う。
作者の“分身”であるらしい、飼い主のキミ子さんのキャラクターが、ちょっぴり天然気味の、じつにほのぼのした雰囲気を醸している。主役の“ぴっぴらさん”の一挙一動も、セキセイインコ飼育経験者(←いちおう私のこと)が見て、「あ、ウチのコとおんなじだ!」と思わず肯いてしまう仕草ばかりなので、非常にリアル感に溢れ、じつに微笑ましい。
インコが縁で広がる付き合いの輪が、また温もりに満ちている。とくに、“ジャンボ”こと大型セキセイの主・かつみさんのややツッコミ型のキャラとボケのキミ子さんとが絶妙のバランスだ。“ぴっぴらさん”と“ジャンボ”を交えた4人(?)のドタバタは、ほんとうにどこにでもありそうな日常風景で、すごく共感できてしまう。大型セキセイの“ジャンボ”を、人(?)生を悟ったような醒めた王様型の性格に描いているのも、実際に並セキセイと並べるとほんとうにそう見えてしまうので、“ぴっぴらさん”との対照が面白い。
個人的には、カラー口絵の裏の“大図解”シリーズ(?)がツボだ。
ひとつだけ残念なのは、フキダシの文字が途中から活字になっていること。こうの氏の書き文字はとても読みやすいし、ギャグのオチなど、ここというときの強調も上手くて味があるので、そのままにしておいた方がよかったように思うが。