先を読まずにいられなくなるテンポの良い文体でスイスイ読めるのですが,実は大事なテーマが含まれており
大人から子どもまで十分満足できる素晴らしい内容の本です。
小学生の子どもにと思い購入し,どんな内容かと目を通してみようと思って読み出すと,これが面白くて最後まで一気に読んでしまいました。
子どももすごく面白かったと言っています。
子どもたちの心の動きがとても自然に描かれており,読んでいて嫌みがありません。
父親が頑張りすぎて過労死してしまった小学校4年生の男の子が主人公で,働きに出なければならなくなった母親の職場の関係で転校してきたという設定で,しかも担任の教師が極端な競争主義者だという,いきなりちょっとヘビーな内容の出だしです。
ところがこの主人公の男の子がいたってポジティブというか,ウジウジ悩んだりしません。
なぜなら,転校初日に不思議なものを見てしまうからです。
それは,どういうわけかテストや50メートル走や給食を食べる早さでビリになると見えるのです。
男の子はそれが見たいがためにわざとテストで最低点をとったり,わざとゆっくり走ったりするようになります。
この作者による「二分間の冒険」もとてもよかったですが,テーマは共通しているように思います。
それは,一人ではかなわない困難(二分間の冒険ではドラゴン,本書では担任教師)でもみんなが一つになれば不可能と思われたことも案外難しくなくなるんだよ,ということではないかと思います。
お奨めの一冊です。