中高一貫の女学校、祥華女学院と主にその寄宿舎を舞台に、まなびやの乙女の日常をファンタジー色豊かに綴った短編連作集です。1995〜2004年初出と、書かれた時期はエピソードごとバラけていて、個人的には95年から97年頃の初期作品がとても好きです。「印度の花嫁」「ねこの星座」「四月天使」あたりが特に。この時期に書かれたものは描き手のバイタリティを感じます。アイデアに溢れコマ割りも凝っていて面白いです。
地元の書店で偶然見かけ、2002年版『ひみつの階段』との差分目当てで購入しました。読後の印象では2002年版のほうがまとまりが良いかと。新装版は「ひみつの階段シリーズ」を完全網羅していますが、もしも初めて読まれるのなら個人的には2002年版がお勧めです。学校・寄宿舎という時間をため込んだ不思議な場で乙女を見守る憧れや慈しみが生む幸福な世界観は2002年版のほうが隙なく感じられます。新装版では「華胥の国に遊び」によって「パズル」の時間が風間夏たちの卒業後すぐくらいだと分かったりなどの発見もありはしましたが、いくらか散漫な印象を受けました。それだけ2002版収録分が選りすぐりで充実していたと感じます。関連エピソード全部読みたいと思うのは人情ですが、物語との出会い方を想ったとき、シリーズのエッセンスが凝縮した形で読めるのは2002年版という気がします。
上記の二つの版は具体的にはエピソード掲載順が若干前後する他、収録内容の差は『乙女は祈る−秘密のドミトリー−』(2000年)から「乙女は祈る」「GIFT」「わかれ道」「華胥の国に遊び」の4品が、その他から「学園祭にいこう」がこの新装版全2巻中に追加収録されています。4頁の小品ながら書き下ろしで「もうひとつの学園祭にいこう」も併録されています。