荒野さんは、絵本の翻訳などもされているので、ご自身の手になる
“初めての絵本”と聞いて改めて、“ああ、そうだったのか”と思う。
子どものころ、こんなこと真剣に願ったなあ。わたしはチョコのなる木が欲しかった。
どこかノスタルジックな昭和の匂いのする絵。
ちょっと亭主関白な感じがするお父さん。その着物姿や、家のなかのようす。
でも、このお父さん、生真面目に“カレーの種”のについて調べ上げ、
大真面目にその呪文や儀式(?)を執り行う。
家族みんなで、やる。それが、おかしくて楽しくて……。
「ありえねー」なんて、決して思っちゃいけない。
ぐいぐい進む話に、いったい「カレーの木」とは、どんなものか、
気になってしかたなくなるから。
至れり尽くせりの木。カレーを食べるためのものは一揃い生るんだよ!?
でも、秘密にはしておけない。匂いまでは隠せないからね。
町中のみんなに振舞って、にわかにカレーパーティーだ。
そうして、食べ尽くしたカレーの木は、また「ひみつ」をくれた。
再びの偶然か、エンドレスの楽しみか……。
いずれにせよ、ラストにドキリとします。