看護は究極の「人」相手の仕事である。その看護師を教える立場にある人が、この本を書いた、それだけでも勇気づけられる。
患者に撃たれた医者もいるし、患者に刺された看護師もいる。なぜそんなにリスクを負うのか、それでも現場に立ち続ける人たちはどんな思いを持っているのか。
突飛な事例や、やや冗長な引用が少し気になるが、現場経験の少ない人が「感情労働」や「共感疲労」の理解を助けるためと思って目をつぶろう。その上で、この問題をふまえて、その解決策にまでコメントしているところが、「教育者」たる著者の立場を反映していると思えた。
好著。医療に携わる人たちや学生に最適。経験豊富な人、病院管理者や政策担当者にとっても、何が現場を苦しめているか、その対策としてどのようなものがあるかを知ることができる。
医療などの対人作業は、いい人がいなければ成り立たない。でも「いい人捜し」に没頭してしまい、「ふつうの人」や「少し間違えた人」を排除・退散する方策に走ってしまうと、結局「いい人」は一人も現場にいなくなる、そんな怖さも感じさせる。