「“名もない花”などひとつもない」とはよく言われるが、植物まるでダメな評者には、現実には“名のない花”ばっかり。芝や植え込みにチラリと見える小さな花々の名が、まったくわからない。
そんなときでも本書があれば、それらの花々にも名前をつけられる・・・ということには、残念だが全然ならなかった。
分類配列の基準が「合弁花類・離弁花類・単子葉類」というのは、一般的な手法なのだろうか。評者は無知ゆえ、それさえもわからないのだが。
素直に(?)、「ちょっと青味がかった白い小さな花びらで、花の直径は1センチくらいで、・・・」と、見た目の印象や特徴から探す、というやり方では、いけないのか。
索引にも問題、いや欠陥がある。たとえば、「タンポポ」という項目が存在しない(!)。たしかに、大きく「ニホンタンポポ」と「セイヨウタンポポ」とに分けられるそうだし、それならば項目として存在する。だが、慣れたひとには“ジョーシキ”なのだろうこの種の知識を、初心者に求められてもいい迷惑だ。当然、「タンポポ」から参照される項目の形で記すべきところだろう。
図鑑で花の名前を調べる行為は、文字通り、その花の名前を知る、その花に名前をつけて覚えることが第一義。その花がキク科に分類されるとか、ユリの仲間だとか、いった情報は、名前がわかってこそ意味を持ち、役立つのではなかろうか。ましてや、合弁花類か単子葉類なのか、など、名前を知りたいだけのレベルの初心者には正直“どうでもいい”ことだ。
同じ著者による『
ひと目で見分ける287種 野鳥ポケット図鑑 (新潮文庫)』でも、お堅い学問寄りの臭いに辟易させられた。
鳥であれ花であれ、大自然の営みに対しては、まずは気軽に愛で親しむのが出発点だろう。こんな小さな場所でなまじっか学問しようったって、どだい無理なのだ。
いずれにせよ、オビに謳う「わかりやすく紹介」にはほど遠い内容や構成。とうてい初心者向きとは思えない。