1965年と言えば40年以上前の口演で、談志が真打になって間もないか、成って直の頃の録音である。それだけに、かなり聞き取り難い部分もあるが、貴重なCDと言える。元々、二つ目時代より「天才落語家」と賞賛されて居ただけあって、噺自体は巧く仕上がっている。談志の凄さは、その稀に見る話芸だが、さり気無い中に、実に的確に人物描写をしてしまえる事である。それは即ち、どれだけ作品を理解し、自分の中で消化しているかに掛ってくる。元々寄席が大好きで、噺家を目指したとしても、この作品への思いは、師匠の小さんの影響が無かったとは言えないだろう。それが「宿屋の富」では富札が当たった時の主人公の描写に、そして「らくだ」では、紙屑屋が酔ってくだを巻く場面に現れている。「らくだ」はこの後、「らくだ(完演)」と言う物が有り、これは脂の乗り切った談志が、らくだの死骸を火屋迄運び、途中で樽の底が抜け、道端で寝ていた願人坊主を火に懸けてしまうと言う最後まで演じている物がある。これは、滅多に聞けない物なので、談志ファン、古典落語ファンには必携のCDである。何れにしろ、これから大名人立川流家元「立川談志」になる、その端緒の談志を聞ける、貴重な1枚である。