熊谷守一さん。
彼の絵は、それまで私が好んで見ていた絵とは違う“異質”なものだった。
たとえば“石亀”
たとえば“ヤキバノカエリ”
たとえば“陽の死んだ日”
誰でもが(たとえば子供にさえ)描けそうでいて、
熊谷守一さんでしか、ぜったい描けない絵。
併せて記されている言葉の数々。
さりげない言葉の向こうに見える、大きな世界。
読む人の心のありようで、時には優しく、時には辛辣に。
毎日が充実している人に。
毎日がイヤでイヤでたまらない人に。
いつも時間に追われている人に。
この本を勧めたい。
深さ2.7m周囲14mの枯れ池に座っている熊谷守一の写真が好きだ。
枯れ池の底に腰掛け、“深山幽谷”を感じていたという彼の気持ち。
今の私はその気持ちに近づいている確信がある。
何年後かの自分も、きっとああいうふうに座っているだろうということも。
ひとりたのしむ。
この本の絵と文とを、あなたにひとりでたのしんでほしい。