ひとひらファンの中でも、この巻だけは賛否がハッキリ別れるところかもしれません。
ちとせ、たま、麦の戸惑い心の痛みを中心に構成されています。
あの直情径行で明るかった神奈ちとせが各話を経ていく度に自己嫌悪と密かな孤独感の中で暗黒面に染まっていく様子が、とても印象に残りました。
友達の気持ちを第一に考えてきたそれまでの自分と
理性のタガを崩壊させ感情(本音)に走ろうとする、もう一人の自分…
2つの狭間で行き場を失った感情はやがて自分への憎しみに変わっていく様子に共感を覚える人も多いのではないかと思います。
読んでいて【認めたくない卑しい自分】…そんな台詞が聞こえてくるような切なさが伝わってきました。
特に甲斐と麦の仲がこじれる流れも神奈が意図している部分があり、最小限の言葉で、誰にも悟られずに亀裂を入れる場面は妙な生々しさを感じさせます。
まあ思い返せば一年生の頃から他人の感情を鋭く見抜いていた神奈ちとせ。
単純に彼女が恋愛に重きを置く性質だからかもしれませんが…(恋愛に疎い他キャラとの温度差もあるのかな)
いずれにしても、3人の悲しみは望んだ未来と訪れた結果との違いに起因しているのが非常に興味深い共通点でした。
何も望まなければ苦しまずに済む。しかし望まなければ自分は自分でいられなくなる…という人間の弱さ、脆さを何となく考えさせられます。
キャラの総合評価では個人的に山口と麦と響が魅力的でした。
あと、表紙を外してみると演劇部の4コマも載ってます。
ミケと響の関係(?)も、ここから始まってたんですねぇ…。