研究会の先輩達の卒業と親友の留学で、ヒロイン「麻井麦」の保護者
兼理解者が6名から2名へと大幅減。
どうにかこうにか演劇部に入部するところまではこぎつける麦だが、
役者を避けたい一心で裏方を希望。
今まで6人がかりで手を引いたり背中を押したりしてきても、表向きは
大きな変化のなかった麦だから、急に自己改革の意識に目覚めてバリバリ
行動するようになるのは不自然だし、そもそも残った2人の保護者が全力で
はっぱをかけたとしても実際そうは変わらないだろう。
演劇部の面々は善人ぞろいで(筋金入りの職人約一名)、麦に対しても
遠慮も悪意もない率直な物言いをする。麦は居心地の悪さを感じるが、実は
演劇研究会のときも同様だったことを忘れているに過ぎない。
そんな中で麦が大きく変化するとしたら、演劇部ごと変わっていくしかない。
一ヶ月後の再公演に向けて、人員不足から役者としての出演を求められる麦。
それを引き受けることで彼女の部内での存在感と好感度は一気に上昇する。
だが、文化祭で麦が主役を好演できたのは、(ほぼ)等身大フルスクラッチ
のオリジナルキャラ(とシナリオ)による部分が大きい。簡単な役とはいえ、
麦がきちんとこなせるのか? その辺の不安は残る。
28〜29話は議論のシーンが延々と続くが、恐ろしいことに非常に面白い。
説明目的の場面ではなく、演劇部員の紹介が主目的だったのが良かったのか。
麗人二十面相な綾瀬幸枝や意外に気配りな人の山口実をはじめとして、各部員の
「いい人」っぷりが存分に描写されている。
作品全体で言えば、4巻は起承転結の承あたりだろうか。
23話あたりから適当にまとめて終わらせても「珠玉の名作」という評価に
恥じない程度の作品になっていただろうと思うが、それを更に磨き上げていこうと
する作者の心意気や力量に頼もしさと大きな期待を感じる。