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6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
湘南ダディは読みました。,
By 湘南ダディ (藤沢市鵠沼) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ひとがた流し (単行本)
高校で同級であった40台の女性3人、それぞれバツイチの美々と牧子、独身のまま民放局でそれなりに名が売れているキャスター、トムさんこと千波の物語。三様の生き方を選択してきたこの3人が本当の姉妹よりも打ち解けあい頼りにしあいながら生きていく日常が細やかに語られています。この物語で素敵なのは登場人物たちが事に当たって、友人のため、友人の娘のため、あるいは自らのため本当に真正面から語りかけるところです。自分が尊敬してきた父親が実の父親でないことを知ってしまった美々の娘、玲にトムさんは諭します。「いい玲ちゃん、あなたにはお父さん、お母さん、それに私をふくめてあなたのことを大事に思ってくれる人が何人もいるのよ。でもお父さんには夫婦であるお母さんを別にしてあなた一人しかいない、だったらあなたの方がお父さんに気を使うべきだね」他人の娘の、こんな重いテーマに対してこれだけ真正面から語れるでしょうか。自分は一人で生きていけるとずっと考えてきたというトムさんのかなり長い独白があって「でもね、私が病院でわかれる時、牧子が生きていてという顔をしたのよ、私の腕を持って行ってもいいから生きててってね。そのとき私は思ったね、一人で生きているんじゃないんだって」「結婚式の時にいっておやり、お父さんありがとうって、それで十分なのさ」こんな会話があって、玲は父親との関係に自分なりの納得をすることになります。人生の深遠な切片を何気ない日常のなかで淡々とかたりながら物語は進むのですが、中半から一気に緊張感を持った展開になり、ギンジローという牡猫しかいなかったトムさんに10歳年下の伴侶ができるのですが・・・・。 女同士、親子、大人と若者という異なった生活や背景をもった者同士の間でも、友情や愛がどれだけ悲しみや苦しみ、孤独からの救済になっていくかが声高にではなく語られ、読後に静かな感動にうたれる作品です。
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
深い悲しみもしみじみと流れていく,
By
レビュー対象商品: ひとがた流し (単行本)
あとがきに、あえて「涙」という言葉を使わなかった、と作者が書いていますが、深い悲しみもしみじみと流れていく、そんな話に思えました。友情を軸に、親子、夫婦、といった人間関係を問う内容がさりげなく込められている、という印象を持ちました。物語の軸となるのは、子供のときからの友情が続いている3人の女性とその家族や周りの人たちの話です。中心人物から脇役までさりげないところで納得させる人物描写で、しみじみと読みました。 蛇足ですが、NHKドラマ(私はドラマを先に見ました)は重要な部分のいくつかを原作と変えています。私は原作の方が好きですし、納得ができます。
7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
時の流れ,
By ひまなやま (千葉県千葉市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ひとがた流し (単行本)
北村薫さんの描く様々な作品に流れる大きなテーマの一つは「時」だと思っています。「スキップ」「ターン」「リセット」の時の三部作は言うまでもなく、代表作の「私(と円紫師匠)」シリーズでも様々な形で「時」を強く意識させてくれます。どの作品でも大きな流れの中で抗う人の弱さや強さを感じさせてくれます。今回の作品でも読み終わった後、まず感じたのは過去から現在、未来へと流れる「時の流れ」でした。生きていく中で忘れてしまった記憶や、戻せない過去。今はもう会えない人や、残したい思い。何気ない日常を丁寧に描きながら、端々で感じるせつなさはとても大事なことを思い出させてくれるような気がします。 特に娘をもつ父親として、類と玲のエピソード(p279-280)は胸に響きました。
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