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26 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
『光』を感じられる秀作,
By とん - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ひそやかな花園 (単行本)
細かな心理描写が醍醐味である角田光代作品の中で、これほど多彩に複数のキャラクターの心理を描いた作品があっただろうか。 しかもそれが読者にとって複雑な印象を与えず、 むしろ作品に奥行を与える重要な要素になっている。 そしてこの物語は彼ら彼女らだけのものではなく、 読み進めるうちに、自分の中にも誰かしらと共通する要素があると、 私たちは気付くはずだ。 幼いころ参加していたきらめくような夏のキャンプ。 そこに参加していたのは、ある秘密をもった7組の両親とその子どもたち。 時を経て、親たちの「真実」を知った7人の彼ら彼女らは・・・。 秘密がわかるまではスリリングな展開だが、 角田光代の真骨頂が具現化されているのは、 むしろラストシーンに向かう後半部分だ。 『きみがさわるもの、味わうもの、ぜんぶ人と違う。きみがいなければ、 きみの見る世界はなかった。』 表紙に書かれているこの言葉は、読後に確かな質感を持って心に響いてくる。 この作品は読者を不安の森の中へ置いてきぼりにはしない。 光のある場所へ導いてくれるがごとく、手を差し伸べてくれるはずだ。秀作!
12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
完成度の高い作品なのだが、読まなければ良かった。,
By
レビュー対象商品: ひそやかな花園 (単行本)
大人たちの〈秘密〉というのが何なのか、それが気になって最初夢中になって読んでいた。 何か事故がおきるとか、そういった展開で、ミステリーなのかと思っていた。 まさか、こういう内容だとは・・・・・・。 完成度は高い。 ストーリーの展開も、テーマの扱い方も丁寧で、さすがと思う。 それでも、ああ、読むんじゃなかったという気持ちがある。 はっきり言ってこのテーマは、読みたくない人にとっては読みたくないもの。 八日目の蝉のように、あらかじめ提示されていれば良かったのだが、 いきなり、このテーマが展開しだすと、 不快と言うかショックを受けるというか、あまり嬉しくない。 これで最後が破滅へ向かうような展開だとイヤだなぁと思っていたが、 どちらかと言えば明るめで前向きなラストだったので、それだけは良かった。 ただ、ハルさんの問題は、あれで終わってしまうのか? ある意味、他の子どもたちや家族の問題は、気持ちの持ちようでどうにでもなるが、 ハルさんの問題が実はこのテーマにおいて、最も深刻な問題で、 法の整備も含めて真剣に考えなければならないことだと思う。 あと、ひとつ感慨深く思ったことは、この問題(テーマ)において どうも、多くの女性たちは、 自分が傷付いたときには、心が折れる壊れると騒ぐわりには、 夫が傷つくであろうことを、わりと平然とやるということ。
10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ページを開いたら途中でやめられないかも,
By
レビュー対象商品: ひそやかな花園 (単行本)
ページを開いたその瞬間から本を閉じられなかった。幼少時代の夏にどこかの別荘地で集まった子供たち。 どんな関係なのか、どうして集まっているのかは親からは なにも知らされず、でも子供たちはその夏の別荘地での キャンプを心から楽しみにしていた。 第一章は1985年から始まる。視点はその子供の視点。 それぞれの子供がかわるがわる語る夏のキャンプの様子。 どの子のそれを読んでもなんだか懐かしく、情景が美しく 読んでいてとっても心地よかった。それでも何故どんな関係で 集まっているのか?その謎が第一段階として匂わせてあって 楽しんで読みながらも、どんな関係なの?どんな謎があるの?と 頭の中で推理しながら読み進めた。 キャンプはある夏から突然終わり、親たちとの会話ではタブーに。 それぞれの子供がだんだん成長していき1999年で第一章は終わる。 第二章は2008年から 大人になった当時の子供たちがどんな風に暮らしているか 各人の視点で書かれている。それぞれの子供が大人になった今も あのキャンプはなんだったのか、日常の中ふと思い出して 気にかけている。そしてそれぞれがなんらかの形で繋がっていき キャンプに集まった子供たちにある共通点があることに気づいていく。 共通点はなんだったのか?その謎説きが興味深く、どんどん ページをめくっていった。個々人が接触しだすところが かなり面白かった。 第三章は2009年 謎はとけて、キャンプで集まった理由がわかったものの 新たにどうしても解き明かしたい事実があり、協力したり 協力しなかったり、物語の核心にせまっていく。 それぞれの事情や悩みと本当に知りたい事は知ってしまって 良いのか?知らない方がいいのか?その部分の各人の心の 揺らぎがとてもうまく描写されていて、それぞれの人に感情移入を しながら読んでしまう。 第四章はそれぞれが自分の過去の事情に折り合いをつけて 心を整理していく。角田さんの物語は後味の悪いものも多いので 今回はどんな風な結末にもっていくのだろうと、危惧しながら 読み進めたが、どの人も明日に向かって明るく歩んでいくような 終わり方だったので、すごく良かった。 プロローグとエピローグをさゆみというキャンプで集まった 当時の子供がまとめているが、文中どうしても好きになれなかった 彼女の考えがエピローグで明るい方へ導かれていて本当に 後味が良かった。 夢中で読んでしまったので、もう一度ゆっくりと最初から味わって 読みたいと思う。久しぶりに★5つ出せる本だった。 例えば子供がいても、いなくても、子供が一人でも二人でも、 どんな状況でも人は幸せでいられると思う。 それは気の持ちようであると思う。どの状況にも、その場合にしか ない幸せって必ずある。だから子供がいるから幸せ、いないから 不幸せという考えの構図は間違っているって私はずっと思っていた。 それでも女性にとって、子供がいる、いないというのは、 重くのしかかる重圧かもしれない。 うまく説明出来ないその気持ちを角田さんはこの本を通して 100%伝えていると思った。どうであろうと「生きなくちゃ いけない自分の人生があるってだけ」という文中の登場人物の セリフが心にすごく響いた。
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