色々オリジナル展開がなされている『ひぐらしのなく頃に』の中にあって、原作者・竜騎士07氏の監修の下でありながら、舞台を平成18年の雛見沢に設定しているこの『宵越し編』はかなり異色な作品という印象があります。しかし、完結編である今巻を一読し『宵越し編』全体を通して味わってみると、やはり非常に『ひぐらし』的なテーマを持った作品だったという感想を持ちました。
実の所、前巻で提示された様々な謎に解答が示されるものの、どれもほぼ予想通りといった内容で、意外性はほとんど感じられませんでした。また、前巻に古手梨花が登場している事から分かるように、間違ってもリアル系のミステリーではありません。しかし、各キャラが抱え込んでしまった難問が綺麗に氷解していく過程をしっかり描いている点で、やはり『ひぐらし』を名乗るに相応しい一編だと評価できると思います。
ホラー的演出が「恐怖の喚起」ではなく「救いの導き」にシフトされているのも、「どうすれば皆が幸せになれるのか?」を命題としている『ひぐらし』らしい優しい展開と言えますね。ただ、恐怖や戦慄を期待していた向きには拍子抜けといった印象になると思いますが。
絵柄について、他作品のように「萌え系」では無いだけに違和感を覚える方も多そうですが、表情付けや、構図(特に魅音の大ゴマはどれも素晴らしいです)、雰囲気を醸し出している背景等、充分な見応えがあり、鑑賞に堪えないと言う事は断じてありません。異なった表現スタイルが楽しめると思いますよ。
最後に一つご忠告。主にスクエニから刊行されているコミカライズ版『ひぐらしのなく頃に』各編には、巻末に竜騎士07氏の解説が掲載されるというスタイルが採られており、当然今巻にも掲載されている訳ですが、前巻で提示された謎の答え合わせを楽しみにしていた方は、本編を一読するまでこの解説を読まない方が良いですよ。解答が明確に記してありますので。