『ひぐらしのなく頃に』アンソロジーノベル集第3弾です。5名の執筆者は第2弾と同じ顔ぶれ(桐生春斗=桐生春人ならばですが)、挿絵師は第1弾と同じ顔ぶれとなっています。
第1弾が「陰」、第2弾が「陽」に重きをおいていたとすれば、この第3弾は「人」の描写に重きをおいていると言えましょうか。
初執筆と言う方はいないし、執筆者によっては第1弾から通して執筆されている方もいるわけで、さすがにこなれてきたと言うか、どれも粒揃いで「ひぐらし」の魅力をよく引き出した作品が収録されていると言う印象です。
特に魅音の恋心を「宮〇あきら」のパロディを絡めて表現した『6月のバレンタイン』と、沙都子の内面世界とトラップの関連を描いた『悲しきトラップ』の2本は楽しめました。
ただ、第1弾に掲載されていた『Cherish〜あなたを愛して〜』の続編のようなストーリー(個人的には"悟史"はまだ生きている派なので最も印象的な作品ではあったのですが)があったり、既にリリース済みの第7編までに提示された未解決の謎を総まとめにしたレポート的なストーリー(第8編『祭囃し編』リリース前にして、非常にタイムリーではあるのですが)も掲載されているなど、本編を全てプレイし、このアンソロジーシリーズもちゃんと読破しているコアファン限定の作品集であるといった印象は否めませんでした。
CDドラマ版、コミック版、アニメ版と広く展開している『ひぐらしのなく頃に』なだけに、本編以外から入ってくるファンも今後更に増えるのでしょうが、そういった本編未経験ファンの方はかなりへヴィなネタバレが含まれていることを承知の上でお読みになるか否かを決定すると良いと思います。
逆にコアファンなら実に楽しめる一冊と言えますね。